統合失調症の社会参加に影響する症状は何か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/05/13 認知機能、陰性症状、抑うつは統合失調症における障害の潜在的な予測因子である。米国・マイアミ大学のMartin T. Strassnig氏らは、さまざまな障害とそれを決定付ける潜在的な要因を評価した4件の研究の統合解析から、認知機能に関する治療は社会的機能にあまり影響しないことを示した。このことは、統合失調症における認知障害の治療に関する先行研究と一致するもので、著者は、「統合失調症の特徴は認知障害ではなく、陰性症状が社会的予後と関連していることであり、この特徴に応じて治療に取り組まなくてはならない」との見解を示した。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、陰性症状が社会的予後を、認知機能と身体機能が職業的機能と日常生活を予測するという仮説を立て、4件の別個の研究データ(すべて170例以上、合計821例)の統合解析を行った。社会的および職業的予後に関する日常機能は、臨床医が情報提供者への聞き取りによって評価したものであり、日常生活は、認知機能および身体機能の検査で観察し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および自己申告による抑うつ症状の有無で臨床的に評価した。そのうえで、前述の仮説を検証する特異的モデルを算出し、陰性症状・抑うつ・認知機能・身体機能が、日常機能のあらゆる側面に同等に影響するという一般的な予測モデルと比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・特異的モデルはデータと適合しており、4件すべての標本において同様に適合することが確認された。 ・相対適合度を分析したところ、特異的モデルは一般的な予測モデルよりデータと良く適合することが示唆された。 ・陰性症状は社会的機能を予測するが、認知機能障害に対する治療は他の障害ほどは社会的機能に影響しない可能性が示唆された。 関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Strassnig MT, et al. Schizophr Res. 2015 Apr 10. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)