認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/05/15 認知症高齢者は、危険運転のリスク群であるが、すべての認知症タイプにおいて同様であると考えてよいのだろうか。オランダ・フローニンゲン大学のDafne Piersma氏らは、認知症の病因が異なっても運転能力に同様の影響があるのかを検討するため、文献レビューを行った。Traffic Injury Prevention誌オンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 レビューは、PubMed、PsychINFO、Google Scholarを介して、認知症の病因と運転に焦点を当てた試験を特定して行った。 主な結果は以下のとおり。 ・初期症状と予後は、病因が異なる認知症間で異なっていた。 ・認知症の病因ごとに、運転への適応度が異なる可能性が示唆された。さらに、認知症の病因ごとに、起こりうる運転問題のタイプを予測できる可能性がある。 ・一方で、認知症のほぼすべての病因において、運転への影響に関するデータや知識はかなり不足していた。 ・1つの仮説として、アルツハイマー型認知症患者は、ルートを見つけるといった戦略的側面の困難さに苦しめられる一方、前頭側頭型認知症患者は、危険認知機能が障害され戦術レベルに誤りを来しやすい傾向があると考えられた。 ・また、運動症状を伴っているその他の病因を有する認知症患者は、運転操作レベルでの問題が生じる可能性があった。 ・しかしながら、認知症のさまざまな病因の運転への影響について、十分に検討されたものはなかった。 ・認知症患者の運転における問題を検出するために、患者のみならず家族も含めた構造的インタビューが重要だと思われた。 ・神経心理学的評価は、認知障害を識別する根拠となりうる。また、そのような障害の運転への影響については、運転シミュレーターによっても調査可能であり、運転シミュレーターでは運転行動における長所と短所の観察が可能であった。 ・これらの知識を用いて、患者の運転適応度や運転サポートの選択(補完技術、自動車の補助機能など)についてアドバイスが可能であった。 ・しかしながら、運転適応度の評価について、妥当性があり信頼性が高く、広く認められた試験がない限り、コストを要するオンロード運転検査を行うしかない。 ・認知症の病因の違いが考慮された認知症患者の運転適応検査が開発されれば、オンロード運転検査の代替となりうる。 関連医療ニュース 認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較 認知症患者が車で徘徊、発見方法は? 重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき (ケアネット) 原著論文はこちら Piersma D, et al. Traffic Inj Prev. 2015 Apr 15:0. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 視力と認知症との関係 医療一般(2020/03/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経(2021/04/20) 希少疾病・難治性疾患特集 2021(2021/02/01) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) 脳血管内治療STANDARD(2020/12/10) 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15)