統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/05/19 未治療の統合失調症では多くの場合、周囲の人たちは、患者の精神症状や自殺企図の可能性を認識できていない。東邦大学の山口 大樹氏らは、致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者において、主観的な経験と観察された行動との間に矛盾があるかを質的パイロット研究により調査した。Annals of general psychiatry誌オンライン版2015年4月15日号の報告。 自殺企図時の主観的経験を検討するために、直近に致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者7例を対象に半構造化インタビューを行った。また、患者家族に対して、患者の精神症状や自殺念慮を認識していたかを評価するため、インタビューを実施した。インタビューデータは質的に分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・6例の被験者は、自殺関連の念慮を示す際、精神症状の悪化を経験した。 ・1例は、自殺を試みる前に、長期の抑うつ状態になっていた。 ・すべての患者が、精神症状や抑うつ気分による重度な苦痛を経験していたが、助けを求める行動は、低レベルまたはまったくない状況であった。 ・7家族中6家族は、患者の精神状態の変化を認識していなかった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症患者の助けを求める行動が見過ごされないように、疾患に関する適切な情報が一般に提供されるべきであり、精神疾患のための利用しやすい早期介入サービスの確立が求められる」とまとめている。 関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yamaguchi T, et al. Ann Gen Psychiatry. 2015;14:17. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 完璧なHIV感染予防法にアクセスできるのは?(解説:岡慎一氏)(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)