拒食に対する抗精神病薬増強療法の効果は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/06/04 神経性やせ症は生命に危険を及ぼすことがあり、あらゆる精神障害のうち最も死亡率が高く、治療が難しい精神疾患である。イタリア・トリノ大学のEnrica Marzola氏らは、神経性やせ症入院患者のカルテを後ろ向きに評価し、非定型抗精神病薬による増強療法について、アリピプラゾールが有望であることを報告した。今回の所見について、著者らは「無作為化試験での確認に値する有望な知見であった」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。 研究グループは、神経性やせ症の成人患者におけるSSRIへの増強療法として、オランザピンとアリピプラゾールの実臨床での使用について予備データを得るため、2012~2014年に入院した患者のカルテを後ろ向きに評価した。入院時、退院時における摂食症状、ならびに精神病理全般・摂食病理について、ハミルトン不安評価尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、Yale-Brown-Cornell摂食障害尺度を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・患者75例の医療記録が検討に含まれた。患者検体は、等しくSSRI投与を受けており、またSSRIに加えてアリピプラゾールもしくはオランザピンの投与を受けていた。 ・ベースラインで臨床的な差がいくつかみられたが、退院時には全員、すべての評価尺度において有意な改善が認められた。 ・とくに、アリピプラゾール投与群では、摂食関連への傾倒(preoccupation)や儀式(ritual)を減らす最も大きな効果が、かなり大きなエフェクトサイズとともに示された。 ・神経性やせ症における薬物治療のエビデンスは見通しの暗い状況にある。増強療法は、さまざまな精神障害の確立したアプローチであり、患者への日常診療でもしばしば使用されているが、これまでに本件に関して利用可能なデータはほとんどない。 ・本検討では、アリピプラゾールの増強療法が摂食関連の強迫観念や衝動を減ずるのに有望であるとの結果が得られた。 関連医療ニュース 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 摂食障害、成人期と思春期でセロトニン作動系の特徴が異なる 拒食に抗精神病薬、その是非は 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Marzola E, et al. PLoS One. 2015;10:e0125569. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)