抗精神病薬の変更は何週目が適切か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/07/08 統合失調症において抗精神病薬が無効な場合、どの程度の期間を待ったうえで治療変更すべきかという臨床上の課題は未解決である。この点に関して、各ガイドラインの見解はさまざまであった。オランダ・アムステルダム大学のMyrto T. Samara氏らは、統合失調症において抗精神病薬の変更を考える場合の効果判定時期の目安を明らかにすべく、メタ解析を行った。その結果、治療開始2週時点で効果が認められない場合は、その後も効果が得られる可能性が低いことを報告した。American Journal of Psychiatry誌2015年7月1日号の掲載報告。 研究グループは、主に個人の患者データを用いて2週時点での非改善がその後の無反応を予測するかどうかを評価する診断検査のメタ解析を行った。EMBASE、MEDLINE、BIOSIS、PsycINFO、Cochrane Library、CINAHL、関連文献の引用文献リスト、全関連文献の補足資料を検索対象とした。主要アウトカムは、ベースラインからエンドポイント(4~12週)までの無反応に対する予測とした。無反応は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)における総スコアの50%以下の減少(最小の改善幅を示す)と定義した。また、2週時点の非改善はPANSSあるいはBPRSの20%以下の改善(最小限の改善より小さいことを示す)とした。副次的アウトカムは、横断的な症状の非寛解、そしてエンドポイント時点でのPANSSあるいはBPRSの20%以下の減少とした。可能性のある調整変数をメタ回帰分析により検証した。 主な結果は以下のとおり。 ・34件の試験(9,460例)において、2週時点でのPANSSあるいはBPRSスコアの20%以下の減少は、特異度86%、陽性適中率(PPV)90%をもってエンドポイント時点での無反応を予測した。 ・実際の観察症例(特異度86%、PPV 85%)または非寛解症例(特異度77%、PPV 88%)のデータを用いても、同様の結果が得られた。 ・一方、エンドポイント時点での20%以下の減少という定義を用いた場合、予測適中率の結果は不良であった(特異度70%、PPV 55%)。 ・検査の特異度は、試験期間6週間以下、ベースライン時の高い重症度、短い罹患期間により、有意に低下した。 関連医療ニュース 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 抗うつ薬切替のベストタイミングは? 抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Samara MT, et al. Am J Psychiatry. 2015 Jul 1;172:617-629. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)