初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/07/15 第2世代抗精神病薬の持効性注射剤(LAI)は、統合失調症患者の臨床的安定に高い効果をもたらす。しかし、これまで統合失調症初回エピソード後に用いられることはあまり多くはなかった。米国・カルフォルニア大学ロサンゼルス校のSubotnik KL氏らは、統合失調症初回エピソードにおけるリスペリドンの有効性を、剤形の違い(LAIと経口剤)で比較検討した。その結果、LAIは経口剤に比べ、精神症状の増悪や再発率が低く、その背景にLAIの良好なアドヒアランスが関連していることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年6月24日号の掲載報告。 研究グループは、2005~2012年に、大学ベースのリサーチクリニックにおいて無作為化臨床試験を実施した。最近統合失調症を発症した86例を、リスペリドンLAI群または経口リスペリドン群に無作為に割り付けた。同時に各グループの半数を、認知機能改善を目的とした認知機能改善療法群または生活習慣と健康状態改善を目的とした健康行動トレーニング群に無作為に割り付けた。すなわち本研究は、リスペリドンLAIと経口リスペリドンの比較、そして認知機能改善療法と健康行動トレーニングの比較を行った12ヵ月間の臨床試験であった。解析はintent-to-treatにて、2012年10月4日~2014年11月12日に実施された。主要アウトカムは、精神疾患再発およびブレークスルー精神症状のコントロールとした。 主な結果は以下のとおり。 ・86例が無作為化を受けた。そのうちLAI群の3例が治療を拒否した。 ・リスペリドンLAI群は経口剤群と比較して、精神症状の増悪や再発率(またはその両方)が低かった(5% vs.33%、χ21=11.1、p<0.001、相対リスク減少 84.7%)。 ・追跡期間にわたり、LAI群は幻覚および妄想の平均レベルを、より良好にコントロールした(β=-0.30、t 68=-2.6、p=0.01)。 ・認知機能改善療法群と健康行動トレーニング群の間で、精神疾患再発、精神症状のコントロール、入院率において有意差は認められなかった。 ・2種類の薬物療法と2種類の心理社会的治療の間にも、有意な相互作用は認められなかった。 ・臨床効果不十分による治療中止は、LAI群よりも経口剤群でより多かった(χ21=6.1、p=0.01)。 ・経口リスペリドンのアドヒアランスは、無作為化前と変わらないようであったが、リスペリドンLAIのアドヒアランスは、経口リスペリドンと比べて良好であった(t 80=5.3、p<0.001)。 ・薬剤アドヒアランスは、症状悪化または再発の予防(χ21=11.1、p=0.003)、そしてブレークスルー精神症状のコントロールと関連していた(β=0.2、t 79=2.1、p=0.04)。 今回の結果を踏まえて、著者らは「統合失調症初回エピソード後のリスペリドンLAI使用は、臨床的アウトカムに対して顕著なアドバンテージがあった。疾患のより早期から、本剤形の使用が勧められる」とまとめている。 関連医療ニュース 月1回の持効性抗精神病薬、安全に使用できるのか 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Subotnik KL, et al. JAMA Psychiatry. 2015 Jun 24. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 60歳以上へのRSVワクチン、承認後初のシーズンの有効性/Lancet(2024/11/01) 異常降雨が全死亡リスクと関連、心血管・呼吸器疾患死亡も/BMJ(2024/11/01) 糖尿病、脳卒中合併高血圧でも積極的降圧が有効―とはいうが、COVID-19ロックダウン下の中国で大規模臨床試験を強行したことに驚き(解説:桑島巌氏)(2024/11/01) 薬物乱用頭痛に対する薬物療法の比較〜ネットワークメタ解析(2024/11/01) 骨髄線維症に10年ぶりの新薬、貧血改善が特徴/GSK(2024/11/01) お茶やベリー類など、フラボノイド摂取が認知症リスクを低下(2024/11/01) 重症の新型コロナ感染者の心臓リスクは心疾患既往者のリスクと同程度(2024/11/01) 救急外来でのChatGPTの活用は時期尚早(2024/11/01) 幸福感が脳卒中や心筋梗塞からあなたを守る(2024/11/01) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)