長期ベンゾジアゼピン使用は認知症発症に影響するか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/07/28 これまでの観察研究では、ベンゾジアゼピンの使用と認知症リスク増加との関連が報告されている。しかし、研究方法に限界があり、本当に関連しているかどうかは不明のままである。スイス・バーゼル大学のPatrick Imfeld氏らは、ベンゾジアゼピン使用と認知症発症リスクとの関連を、症例対照分析により検証した。Drug safety誌オンライン版2015年6月30日号の報告。 英国の臨床診療研究データリンク(CPRD)に基づく症例対照分析。1998~2013年にアルツハイマー病(AD)または血管性認知症(VaD)と新たに診断された65歳以上の患者2万6,459例を同定し、年齢、性別、追跡期間、一般診療情報、記録年数を1対1でマッチさせた非認知症者をコントロール群とした。調整オッズ比(aORs)は、以前のベンゾジアゼピン使用(投与期間、種類による層別化)とADまたはVaDの発症との関連について、95%信頼区間(CIs)を用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・AD診断前1年以内にベンゾジアゼピン使用を開始した者におけるAD発症のaORは、2.20(95%CI:1.91~2.53)であったが、診断前2~3年以内に開始した者では、無関係であった(aOR:0.99、95%CI:0.84~1.17)。 ・VaD診断前1年以内にベンゾジアゼピン使用を開始した者におけるVaD発症のaORは、3.30(95%CI:2.78~3.92)であったが、診断前3~4年以内に開始した者では、ほぼ無関係であった(aOR:1.16、95%CI:0.96~1.40)。 ・前駆期におけるベンゾジアゼピン使用開始を考慮しても、ベンゾジアゼピンの長期使用は、AD(aOR:0.69、95%CI:0.57~0.85)またはVaD(aOR:1.11、95%CI:0.85~1.45)発症リスク増加との関連は認められなかった。 関連医療ニュース メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか ベンゾジアゼピン処方、長時間型は大幅に減少 長期抗コリン薬使用、認知症リスク増加が明らかに 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Imfeld P, et al. Drug Saf. 2015 Jun 30. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 重症βサラセミアへのbeti-cel、89%が輸血非依存性を達成/Lancet(2024/11/25) 手術目的の入院患者の有害事象、多くは予防可能/BMJ(2024/11/25) 高リスクIgA腎症へのエンドセリンA受容体拮抗薬の重度蛋白尿改善効果は確定(解説:浦信行氏)(2024/11/25) 境界性パーソナリティ障害に非定型抗精神病薬は有効なのか〜メタ解析(2024/11/25) 非肥満2型糖尿病患者の心血管障害へのSGLT2阻害薬の効果は/京大(2024/11/25) EGFR陽性NSCLC、CRT後のオシメルチニブは日本人でも良好(LAURA)/日本肺癌学会(2024/11/25) 1日わずか5分の身体活動の追加が血圧低下に効果的(2024/11/25) 便秘は心臓病のリスクを高める?(2024/11/25) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)