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認知機能改善効果が期待される新規抗うつ薬 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/08/28 大うつ病性障害(MDD)では、しばしば認知機能障害の併発がみられる。いくつかの臨床試験で、MDDに対する抗うつ薬の認知機能促進作用が示されてきた。カナダ・トロント大学のJoshua D. Rosenblat氏らは、MDD患者の認知ドメインに及ぼす抗うつ薬の影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、抗うつ薬は精神運動速度と遅延再生にプラスの影響を及ぼし、なかでもvortioxetineが大きく寄与している可能性を示唆した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。 研究グループは、MDDにおけるさまざまな認知ドメインに対する抗うつ薬の影響を統合評価する検討を行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials、PubMed、Embase、PsychINFO、Clinicaltrials.govおよび関連するレビュー記事を検索し、2015年4月15日以前に発表された試験を特定した。抗うつ薬の認知機能への影響を評価したランダム化臨床試験のデータを統合し、ランダム効果モデルを用いて標準化平均差(SMD)を決定した。 主な結果は以下のとおり。 ・vortioxetine(国内未承認、728例)、デュロキセチン(714例)、パロキセチン(23例)、citalopram(国内未承認、84例)、phenelzine(国内未承認、28例)、ノルトリプチリン(32例)、セルトラリン(49例)の認知機能への影響を評価した9件のプラセボ対照ランダム化試験(被験者2,550例)を特定した。 ・抗うつ薬は、精神運動速度(SMD:0.16、95%信頼区間:0.05~0.27、I2=46%)と遅延再生(同:0.24、0.15~0.34、0%)にプラスの影響を示した。 ・認知制御および実行機能に対しては、統計学的に有意な影響は認められなかった。 ・vortioxetineを除外して解析したところ、精神運動速度において注目すべき統計学的有意差の消失が認められた。 ・SSRI(371例)、SNRI(25例)、三環系抗うつ薬(TCA)(138例)、ノルエピネフリンおよびドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)(46例)の影響を比較した8件の直接比較ランダム化試験が特定された。 ・それら試験結果を統合し分析した結果、認知機能への影響を示す統計学的有意差は認められなかった。 ・以上、抗うつ薬では、精神運動速度および遅延再生に対し有意なプラス効果があることを示唆するエビデンスが認められた。 ・検討は、結果の不均一性、不十分な試験数、サンプルサイズが小さく、結果はきわめて限定的である。 関連医療ニュース 新規抗うつ薬の実力、他剤比較で検証 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Rosenblat JD, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2015 Jul 25. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発・難治性DLBCL、複数の分子標的薬を含む5剤併用療法が有効/NEJM(2024/07/02) 心房細動とその合併症の生涯リスクの2000~22年における経時的変化:デンマークの一般住民を対象とした全国規模のコホート研究(解説:原田和昌氏)(2024/07/02) 臨床現場で認知症やMCI患者のアドヒアランスは把握可能か(2024/07/02) ライフステージごとの運動で健康寿命の延伸を目指す/日医(2024/07/02) プラネタリーヘルスダイエットは地球と人間の健康を促進する(2024/07/02) ニルマトレルビル/リトナビル、long COVIDに対する効果が認められず(2024/07/02) キシリトールの摂取は心血管イベントのリスクを高める(2024/07/02) 問題飲酒につながる仕事の特性(2024/07/02) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)