抗精神病薬のQT延長リスク、アリピプラゾールはどうか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/09/01 特定の抗精神病薬は、補正QT間隔(QTc)の延長リスクを高め、その結果torsades de pointes(TdP:トルサードポワン)や心臓突然死(SCD)のリスクを高める。また、薬剤誘発性ブルガダ症候群(BrS)もSCDと関連している。そして、ほとんどのSCDは、さらなる心リスク因子を有する患者において発生する。これまで、QTc延長リスクが高いトルサードハイリスク患者に対するアリピプラゾールの心臓への安全性に関する評価は行われていなかった。デンマーク・オールボー大学病院のChristoffer Polcwiartek氏らは、アリピプラゾールの心臓への安全性を評価するため、メタ分析的アプローチによるシステマティックレビューを行った。Psychopharmacology誌2015年9月号の報告。 MEDLINE、Embase、Cochrane Libraryを用い、前臨床、臨床、疫学の研究データを検索した。適格な研究をレビューし、心臓への安全性データを抽出した。連続および2値のQTcデータをメタ分析に使用した。 主な結果は以下のとおり。 ・前臨床研究より、アリピプラゾールは遅延整流カリウム電流の親和性を制限することが示唆された。 ・TdPは症例報告2件、SCDは症例報告1件と症例シリーズ報告1件で報告されていた。 ・トルサードハイリスク患者に対する、アリピプラゾールの心臓への安全性を評価した臨床研究は見つからなかった。 ・アリピプラゾールのthorough QT(TQT)試験は、見つからなかった。 ・メタ分析により、平均△QTc間隔はアリピプラゾールにより減少し、QTc延長リスクはプラセボや実薬対照群と比較し低いことが明らかとなった。 ・疫学研究では、アリピプラゾールは、低/中程度のトルサードの遺伝性リスクと関連していた。 ・高ナトリウム電流に対し低い親和性を示すBrSとアリピプラゾールとの関連についての試験は見つからなかった。 結果を踏まえ、著者らは「アリピプラゾールは、健康な患者における心臓安全性については、リスクの低い抗精神病薬であるが、TQT試験やハイリスク患者におけるデータが乏しいことから、著しいQTc延長がみられるトルサードハイリスク患者では、ベースラインと定常の心電図検査が推奨される」とまとめている。 関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法 2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは 第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Polcwiartek C, et al. Psychopharmacology (Berl). 2015;232:3297-3308. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Vol. 4 No. 1 HFpEF駆出率の保たれた心不全に対する診断と治療を考える(2015/08/21) HDLの質に注目した新たなアプローチ ―脂質異常症患者における高純度EPA製剤の投与意義―(2015/07/10) Dr.たけしの本当にスゴい症候診断(2015/07/07) 高血圧治療を再考する ~L/N型Ca拮抗薬/ARB配合錠の選択~(2015/04/06) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15)