てんかん再発リスクと初回発作後消失期間 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/09/21 近年てんかんの定義は見直され、1回の非誘発性発作が生じ、その後10年間の発作再発率が60%以上の場合とされた。この定義は、4年時点の95%信頼区間(CI)の下限値を用いて予測した、2回目の非誘発性発作後に起こる3回目の再発リスクに基づいたもので、初回発作の高い再発率(発作消失期間の延長に伴い急激に低下)は考慮されていない。オーストラリア・ロイヤル・パース病院のNicholas Lawn氏らは、てんかん初回発作後の発作消失期間が、再発に及ぼす影響について検討した。その結果、発作消失期間が12週以下と短い場合は、てんかんの新定義に該当する患者が認められず、初回発作後の発作消失期間が、再発リスクに関連している可能性を示唆した。Epilepsia誌2015年9月号の掲載報告。 研究グループは、初回発作後の長期アウトカム、発作消失期間が発作再発の可能性に及ぼす影響、てんかん新定義の妥当性を検討した。2000~2011年に病院で確認された1回の非誘発性発作を認めた成人798例について、前向きに解析した。発作再発の可能性を発作消失期間、病因、脳派(EEG)、神経画像所見により解析した。 主な結果は以下のとおり。 ・10年時点における発作再発の可能性は、EEGあるいは神経画像所見上でてんかん型異常を認める患者の60%以上に認められ、これはてんかんの新定義に見合ったものであった。 ・しかし、再発リスクは高い時間依存性を示し、発作消失期間が短い(12週以下)場合、てんかんの新定義を満たした患者群はなかった。 ・2回目の発作を起こした407例のうち、4年時点で3回目の発作を起こす可能性は68%(95%CI:63~73%)、10年時点における可能性は85%(同:79~91%)であった。 ・発作消失期間が短い場合に、てんかん新定義を満たす患者がいなかったことから、初回発作後の発作消失期間が再発リスクに大きく影響すると考えられた。 ・データから得た10年時点での3回目発作リスクに基づいて閾値を設定したところ、初回発作を起こした患者の中にてんかん既往例はみられなかった。これらのデータは、初回発作後のてんかんを定義するうえで有用である可能性がある。 関連医療ニュース 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Lawn N, et al. Epilepsia. 2015;56:1425-1431. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)