軽度うつ病患者の大うつ病予防効果を検証するRCTは実施可能か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/09/22 大うつ病の基準に満たない持続性抑うつ症状は、大うつ病に進行するリスクの高い慢性状態を表す。それら抑うつ患者や軽度うつ病に対する、人間中心療法(Person-Centred Counselling)や低強度の認知行動療法といった心理療法のエビデンスは限られており、とくに長期アウトカムは限定的であった。ブラジルのジュイス・デ・フォーラ連邦大学のElizabeth Freire氏らは、大うつ病の基準に満たない抑うつ症状および軽度うつ病患者を対象とした心理療法に関する無作為化対照試験の、実行可能性について検証を行った。BMC Psychiatry誌2015年8月15日号の掲載報告。 パイロット/実行可能性試験であった本検討は、被験者募集登録率、ベースラインから6ヵ月時点でのアドヒアランスと継続(非脱落)率を主要評価項目とした。また重大副次評価項目として、6ヵ月時点でのうつ病回復またはうつ病発症予防とし、これらの評価は被験者の治療状況を盲検化したうえで独立した評価者が構造化臨床面接により行った。5件の一般診療所(GP)で36例の患者が登録され、週1回8週にわたる人間中心療法のセッションを受ける群(各々最大1時間)と、週1回8週にわたる認知行動療法(毎回20~30分間、電話サポートでリソースの活用を促す)のセッションを受ける群に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。 ・GPの患者数からみた被験者登録率は1.8%であった。 ・両群の介入に関して、患者は平均5.5セッション参加した。 ・追跡6ヵ月時点の評価に組み込まれた患者は、72.2%であった。 ・6ヵ月時点で評価が行われた被験者のうち、ベースライン時に軽度うつ病と診断された被験者の71.4%で回復が認められ、ベースライン時に持続性うつ病と診断された被験者のうち66.7%は大うつ病への進行を認めなかった。 ・6ヵ月時点での回復およびうつ病発症予防、その他のいずれのアウトカムにおいても、治療群間で有意な差は認められなかった。 ・以上から、被験者登録は実行可能であり、プライマリケア設定で大うつ病の基準に満たない患者および軽度のうつ病患者に対して、人間中心療法と認知行動療法はいずれも提供可能であることが示された。 ・ただし、GPでの登録には多大な労力を要することも示唆された。 ・本研究は、短期間の人間中心療法と低強度の認知行動療法は有効であると思われること、その効果については、医療経済面の評価を含む大規模無作為化対照試験で評価すべきであることを示唆するものであった。 関連医療ニュース うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project 自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Freire E, et al. BMC Psychiatry. 2015 Aug;15:197. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)