認知症に対する回想法、そのメリットは 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/10/07 台湾大学のHui-Chuan Huang氏らは、認知症高齢者に対する回想法の有用性を明らかにすることを目的にメタ解析を行った。その結果、回想法の実施により認知機能および抑うつ症状の改善が認められ、その効果は地域で居住する患者よりも施設に入所している患者で大きいことを報告した。認知機能障害および抑うつ症状は認知症高齢者に一般的な症状である。過去に実施されたメタ解析は、解析対象とした試験のデータが古く、研究規模も小さかったため、認知機能および抑うつ症状に対する回想法の効果に関して一貫した結果が得られなかった。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2015年9月1日号の掲載報告。 研究グループは、最近の大規模無作為化対照試験(RCT)を含めたメタ解析を実施し、認知症高齢者における認知機能および抑うつ症状に対する回想法の即時効果と長期(6~10ヵ月)効果を検討した。PubMed、Medline、CINAHL、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、ProQuest、 Google Scholar、中国データベース等の電子データベースを検索し、適格文献を選択した。主要アウトカムは、認知機能および抑うつ症状のスコアとした。認知症高齢者における認知機能と抑うつ症状に対する回想法の効果を検討している合計12件のRCTを解析対象とし、2人のレビュワーが独立してデータを抽出した。解析はすべてランダム効果モデルを用いて行った。 主な結果は以下のとおり。 ・認知症高齢者に対する回想法は、認知機能に対し効果量は小さく(g=0.18、95%信頼区間[CI]:0.05~0.30)、抑うつ症状に対しては中等度の効果量(g=-0.49、95%CI:-0.70~-0.28)を示した。 ・認知機能および抑うつ症状に対する回想法の長期効果は確認されなかった。 ・Moderator(変数)解析により、施設に入所している認知症高齢者は地域在住の認知症高齢者に比べ、抑うつ症状の改善が大きかった(g=-0.59 vs.-0.16、p=0.003)。 ・以上のように、回想法は認知症高齢者における認知機能および抑うつ症状の改善に有効であることが確認された ・結果は、定期的な回想法の実施が認知症高齢者、とくに施設に入所している認知症患者の認知機能および抑うつ症状改善のためのルーティン・ケアに組み込む必要性を示唆するものであった。 関連医療ニュース 重度アルツハイマー病に心理社会的介入は有効か:東北大 認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か 認知症への運動療法、効果はあるのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Huang HC, et al. J Am Med Dir Assoc. 2015 Sep 1. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 超早産児の1次呼吸補助、非侵襲的高頻度振動換気法が有望/BMJ(2025/10/21) 術前療法後の高リスクHER2+早期乳がん、T-DXd vs.T-DM1(DESTINY-Breast05)/ESMO2025(2025/10/21) 進行尿路上皮がん、アベルマブ維持療法前の化学療法3サイクルvs.6サイクル(DISCUS)/ESMO2025(2025/10/21) HER2変異陽性NSCLCの1次治療、ゾンゲルチニブの奏効率77%(Beamion LUNG-1)/ESMO2025(2025/10/21) 若者の片頭痛、30年間で世界的な負担が急増(2025/10/21) アブレーション後の再発予防、スタチンが最適か~ネットワークメタ解析(2025/10/21) 日本の中学生のピロリ検査、陽性率1.2%で半数は家族感染(2025/10/21) たとえ少量でも飲酒は認知症リスクを高める(2025/10/21) [ あわせて読みたい ] 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)