テクノロジーを用いた不眠症治療、改善の余地あり

提供元:ケアネット

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公開日:2015/10/12

 

 不眠の訴えを軽減する一助として、複数のテクノロジーが提案されている。ユーザーの視点からみたこれらテクノロジーの評価は、治療アドヒアランスと関連する背景因子の知見を提供しうる。オランダ・デルフト工科大学のCorine Horsch氏らは、テクノロジーを用いた不眠症治療のアドヒアランスの状況を、メタ解析により調べた。その結果、アドヒアランス率は50%程度で改善の余地は大きいことが示唆されたが、不眠症患者自身は十分なアドヒアランスを保っていると考えており、いわゆる“アドヒアランスバイアス”が存在することを報告した。Journal of Medical Internet Research誌オンライン版2015年9月4日号の掲載報告。

 研究グループは、テクノロジーを用いた不眠症治療のアドヒアランスの状況を把握し、アドヒアランス強化戦略を適用することにより、アドヒアランス率改善の確固たるベースを作ることを目的として、以下の3つの方法で検討を行った。
(1)テクノロジーを用いた不眠症治療のアドヒアランス率を、メタ解析の実施により調べた。テクノロジーを用いた不眠症治療に関する複数のデータベースを照会し、適格基準および除外基準を評価した後、18件の試験のデータを収集して平均アドヒアランス率を算出した。
(2)睡眠サポートテクノロジーに関する15件の半構造化インタビューを行い、アドヒアランスの状況を把握した。
(3)アドヒアランス率をサポート可能なバーチャル睡眠指導の活用に関する複数のシナリオを作成。積極的ユーザー(15例)、睡眠専門医(7例)、コーチ(9例)をそれぞれ構成員に含む6つのフォーカスグループで、シナリオについてディスカッションを行った。

 主な結果は以下のとおり。

・メタ解析の結果、テクノロジーを用いた睡眠治療の平均治療アドヒアランスは約52%(95%信頼区間[CI]:43~61%)であった。
・この結果は、治療エクササイズの半分が遂行されていないことを示し、この分野においてアドヒアランス改善の余地が大きいことを示唆するものであった。
・一方で、介入群ユーザーは、自分たちが利用するテクノロジー睡眠治療を十分に活用できていると信じている傾向がみられた。
・また、介入群ユーザーは、治療アドヒアランスは個人の意欲(意志力など)に依存すると述べていた。
・同様の傾向は、フォーカスグループの参加者でも認められ、彼らは、アドヒアランス強化戦略よりも個人の意欲のほうが、より効果が大きいと見なしていた。
・不眠症介入のアドヒアランス率に大きな改善の余地があることが示唆されたが、ユーザーらはアドヒアランス戦略が問題であると考えていない可能性があり、彼らは意志の力が効果的なアドヒアランス戦略だと信じていた。
・バーチャル指導は、こうした“アドヒアランスバイアス”に対処可能であり、ユーザーに対してリマインダー、褒め言葉、コミュニティづくりなどのアドヒアランス強化戦略を受け入れることを説得すべきである、と著者はまとめている。

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(ケアネット)