ラピッドサイクラー双極性障害、抗うつ薬は中止すべきか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/10/27 急速交代型(rapid-cycling:RC)双極性障害における抗うつ薬の使用は論争の的となっているが、米国・ルイビル大学のRif S. El-Mallakh氏らは、このトピックについて初となる無作為化試験を行った。その結果、アプリオリな分析で、良好な抗うつ薬反応と気分安定薬の使用にもかかわらず、RCにおいて抗うつ薬使用を継続することは、中断した場合と比べて、維持アウトカムの悪化、とくに抑うつ罹患と関連することが明らかにされた。Journal of Affective Disorders誌2015年9月15日号の掲載報告。 検討は、Systematic Treatment Enhancement Program for Bipolar Disorder(STEP-BD)試験の一部として行われた。急性大うつ病エピソードの最初の反応後、抗うつ薬治療継続群と中断群に無作為に割り付けた患者68例について、STEP-BD試験のアプリオリな副次アウトカムであった反応予測としてのRCを分析した。アウトカムは、エピソードの時間割合および総エピソード数を評価した。なお全患者が、標準的な気分安定薬を服用していた。 主な結果は以下のとおり。 ・抗うつ薬継続群において、RC患者は非RC患者と比べて、総気分エピソード/年は268%超(3.14/1.17)、うつ病エピソード/年は293%超(1.29/0.44)経験した。 ・RC群 vs.非RC群のうつ病エピソード/年の平均差(SE)は0.85±0.37であった(df=28、p=0.03)。 ・また、抗うつ薬継続群において、RC患者は非RC患者よりも寛解期が28.8%(95%信頼区間:9.9~46.5)短かった(p=0.04)。 ・RC群と非RC群のこうした差は、抗うつ薬中断群ではみられなかった。 ・サブグループ解析では、維持期の抗うつ薬治療で層別化した場合にのみ同様の結果がみられた。ただし、サンプルサイズに限界はあった。 関連医療ニュース 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は 双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか 双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は (ケアネット) 原著論文はこちら El-Mallakh RS, et al. J Affect Disord. 2015;184:318-321. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 双極性障害患者のラピッドサイクラーと寛解に関連する臨床的特徴 医療一般 日本発エビデンス(2020/10/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)