妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/11/12 スクリーニングでうつ病と診断された妊娠中あるいは分娩後の女性について、スクリーニング単独の場合はメンタルヘルスの活用は22%にとどまったが、周産期外来部門への介入や、本人へのリソース提供を行うことで、周産期うつ女性のメンタルヘルス活用は、2~4倍増大するという。米国・マサチューセッツ大学医学部のNancy Byatt氏らがシステマティックレビューの結果、示した。Obstetrics & Gynecology誌オンライン版2015年11月号の掲載報告。 レビューは、PubMed、CINAHL、PsycINFO、ClinicalTrials.gov、Scopus(EMBASE)を検索し、1999~2014年に発表された、周産期医療時におけるうつ病スクリーニング後のメンタルヘルスケアの活用を評価した研究を特定して行われた。研究の選択基準は、1)英語で発表、2)スクリーニングでうつ病と診断された妊娠中あるいは分娩後の女性が被験者、3)周産期外来で有効性の認められているうつ病スクリーニングを実施、4)メンタルヘルスケアの活用をアウトカムに含む、とした。392件の論文が検索され、このうち42件がフルテキストレビューであり、17件が選択基準を満たした。modified Downs and Black scaleを用いて研究の質を評価。2人の研究者が個別に論文をレビューし、コンセンサスを得ながら、試験デザイン、介入の内容、メンタルヘルスケアの活用を明らかにし、分類した。 主な結果は以下のとおり。 ・無作為化対照試験1件、クラスター無作為化対照試験1件を含む、さまざまな試験デザインの研究論文17件をレビューに包含した。研究論文の質に関する平均支持率は61%(31.0~90.0%)であった。 ・周産期外来部門へ介入が行われなかった場合、周産期うつ女性が1回以上メンタルヘルス外来を受診していた割合は平均22%(13.8~33.0%)だった。 ・しかし、患者への関与戦略(44%、29.0~90.0%)、実地アセスメント(49%、25.2~90.0%)、また周産期医療従事者へのトレーニング(54%、1.0~90.0%)といった介入を行うことで、外来受診の頻度は倍増した。 ・さらに、女性に対するリソースの提供、周産期医療従事者へのトレーニング、実地アセスメント、および周産期医療従事者対象のメンタルヘルスコンサルテーションという介入を行うことで、メンタルヘルスケアの活用はより高率となることが示唆された(81%、72.0~90.0%)。 ・詳細で正確なさらなる研究が必要ではあるが、スクリーニングに加えて本人および医療従事者を対象とした介入、また実地臨床レベルの障壁に対する介入を行うことは、うつ病の検出、評価、専門医への紹介、さらに周産期医療を改善すると思われた。 関連医療ニュース 妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する ヨガの呼吸法や瞑想、産前うつ軽減によい (ケアネット) 原著論文はこちら Byatt N, et al. Obstet Gynecol. 2015;126:1048-1058. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは 医療一般(2017/08/31) 日本におけるCOVID-19発生時の医療従事者のメンタルヘルス 医療一般 日本発エビデンス(2020/11/26) 周産期うつ病の日本における有病率~メタ解析 医療一般 日本発エビデンス(2020/08/04) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 希少疾病・難治性疾患特集 2021(2021/02/01) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト(2020/10/10) 開発中の治療法最前線(2020/02/17) 希少疾病・難治性疾患特集 2020(2020/02/03) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31)