複数の向精神薬の血中濃度を一度に測定する新手法 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/11/13 向精神薬治療は薬物動態学的特性の個体差が大きいため十分な治療効果が得られない場合があるが、薬物血中濃度モニタリング(TDM)は、患者個々に投与された用量の効果を調べる有効な方法である。中国・昆明医科大学附属第一医院のJingjing Wang氏らは、TDM等に応用するため、抗精神病薬、抗うつ薬および抗認知症薬計17種の血漿中濃度を測定する、超高速液体クロマトグラフィー(UFLC)-タンデム質量分析法を開発し検証を行った。その結果、新しい測定法はTDMのすべての基準を満たしており、著者らの病院の日常診療において、抗精神病薬および抗うつ薬のTDMとして有用であったと報告している。Therapeutic Drug Monitoring誌2015年10月号の掲載報告。 研究グループは、従来の方法(0.1%ギ酸を含むメタノール/アセトニトリルで沈殿したたんぱく質の固相抽出)に代わる新たな方法として、0.1%ギ酸とアセトニトリルからなる移動相でSynergy 3u-Hydro-RP(2.0×50mm、3μm)カラムを使用するタンデム質量分析を組み合わせたUFLCを開発し、定量分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・新しい測定法により、一般的によく使用される抗精神病薬8種類(アリピプラゾール、クロルプロマジン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、ziprasidone、クロザピン、オランザピン)、抗うつ薬8種類(citalopram、エスシタロプラム、ミルタザピン、fluoxetine、パロキセチン、セルトラリン、O-desmethylvenlafaxin+venlafaxine、フルボキサミン)および抗認知症薬1種類(ドネペジル)を同時に簡便かつ速やかに測定できた。 ・クロマトグラフィー分離の実行時間は計6分であった。 ・精度は0.90~14%、正確度は88.5~118%であった。 ・キャリブレーションには、臨床使用濃度をカバーし検出力のある6点標準曲線を使用した。 ・マトリックス効果によるイオン抑制と内部標準を調査した結果、回収率は89~110%であった。 関連医療ニュース SSRIの薬物治療モニタリング、実施率は 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する 1万超の爪からの薬物検出分析、薬物乱用を見抜けるか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Wang J, et al. Ther Drug Monit. 2015;37:649-660. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 venlafaxineは、うつ病患者の心臓突然死リスクを増大させない ジャーナル四天王(2010/02/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)