非薬物的介入の併用で認知症への抗精神病薬使用が減らせるか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/01/04 英国・ロンドン大学のClive Ballard氏らは、介護施設に入居中の認知症患者を対象に、抗精神病薬の見直し、社会的交流、運動などの介入が、抗精神病薬の使用状況や興奮、うつなどの症状に及ぼす影響を評価した。その結果、抗精神病薬の見直しにより使用が減少したが、より高いベネフィットを期待するには、その他の非薬物的介入も併用することが望ましいと報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。 研究グループは、英国の介護施設16ヵ所に入居中の認知症患者を対象とし、2種のレプリケーションを用いたクラスター無作為化要因対照試験を実施した。全介護施設が、患者中心医療のトレーニングを受けた。8施設が「抗精神病薬の見直し」「社会的交流の介入」「運動介入」に割り付けられ、9ヵ月間の介入を実施した。なお、大半の施設が1つ以上の介入に割り付けられ実施した。主要アウトカムは、抗精神病薬の使用、興奮、うつとした。副次的アウトカムは、全般的神経精神症状および死亡率であった。 主な結果は以下のとおり ・抗精神病薬の見直しは、抗精神病薬の使用を有意に50%減少させた(オッズ比:0.17、95%信頼区間[CI]:0.05~0.60)。 ・抗精神病薬の見直しと社会的交流介入の併用は、どちらも実施しなかったグループと比べ、死亡率を有意に減少させた(オッズ比:0.26、95%CI:0.13~0.51)。 ・抗精神病薬の見直しを受け、社会的交流の介入を受けなかったグループは、どちらも受けていないグループに比べ、神経精神症状のアウトカムが有意に不良であった(スコアの差:+7.37、95%CI:1.53~13.22)。 ・この負の影響は、社会的交流の併用により軽減された(-0.44、-4.39~3.52)。 ・運動介入は、神経精神症状を有意に改善したが(-3.59、95%CI:-7.08~-0.09)、うつに関しては改善が認められなかった(-1.21、-4.35~-1.93)。 ・興奮に対して有意な影響を及ぼす介入は確認されなかった。 (ケアネット) 精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 原著論文はこちら Ballard C, et al. Am J Psychiatry. 2015 Nov 20. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 完璧なHIV感染予防法にアクセスできるのは?(解説:岡慎一氏)(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)