第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/01/14 イタリア・Scientific Institute IRCCS Eugenio MedeaのMarco Pozzi氏らは、薬物血中濃度モニタリング(TDM)の観察研究にて、小児患者の実生活における第2世代抗精神病薬(SGA)の血中濃度特性を調べた。その結果、リスペリドンは成人よりも低値だが、アリピプラゾールは類似しているなどの特性が明らかになったという。著者らは、「今回のデータをより大規模な患者集団で検証すれば、小児患者におけるリスペリドンやアリピプラゾールの至適治療域を明確化できる可能性がある」と報告している。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2015年11月28日号の掲載報告。 SGAのTDMに関する利用可能なガイドラインは、成人を対象に作成されており、薬物の吸収・分布・代謝・排泄が成人とは異なる小児患者にそのまま当てはめることはできない。また、精神神経疾患を有する小児患者における用量換算ツールは少なく、有効性の減少あるいは毒性リスクの増加につながる可能性が指摘されている。研究グループは、2012~14年にイタリアの3施設で、小児精神神経科の外来患者172例を対象に、SGA[リスペリドン(+9-ヒドロキシリスペリドン)、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン]の血中濃度(血漿トラフ濃度)を測定し(計556検体)、投与量と臨床変数との関連について検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・リスペリドンの血中濃度は、成人よりも低かった(中央値13.6ng/mL)。患者内変動は小さく(34.2%)、患者間変動は大きかった(78.9%)。 ・重回帰分析の結果、リスペリドンの血中濃度は投与量のみに依存した(p<0.001)。 ・アリピプラゾールの血中濃度は、成人と類似していた(中央値165.8ng/mL)。患者内変動は非常に小さいが(29.3%)、患者間変動は大きかった(81.1%)。 ・重回帰分析の結果、アリピプラゾールの血中濃度は1日投与量(p<0.001)および併用薬剤数(p<0.01)に影響を受けることが示された。 (鷹野 敦夫) 精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 原著論文はこちら Pozzi M, et al. Eur J Clin Pharmacol. 2015 Nov 28. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 完璧なHIV感染予防法にアクセスできるのは?(解説:岡慎一氏)(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)