運動による抑うつ症状の改善効果は確立している。無作為化試験(RCT)の脱落率は試験間で異なり、RCTにおける脱落はエビデンスに基づく信頼性に脅威を与える。英国・South London & Maudsley NHS Foundation TrustのBrendon Stubbs氏らは、運動RCTに参加したうつ病成人における脱落率とその予測因子を調査し、システマティックレビューとメタ解析を行った。Journal of affective disorders誌2016年1月15日号の報告。
著者3名は、最近のコクランレビューからRCTを特定し、2013年1月~2015年8月までの主要電子データベースのアップデート検索を行った。脱落率を報告したうつ病患者[大うつ病性障害(MDD)と抑うつ症状を含む]に対する運動介入のRCTが含まれた。ランダム効果メタ分析とメタ回帰を行った。
主な結果は以下のとおり。
・うつ病患者1,720例[49.1歳(範囲:19~76歳)、女性72%(同:0~100%)]を含む52の運動介入における脱落率を報告したRCT 40件が含まれた。
・すべての試験を通じ、脱落の調整罹患率(trim and fill法による)は18.1%(95%CI:15.0~21.8%)、MDDのみでは17.2%(95%CI:13.5~21.7%、n=31)であった。
・MDD患者において、ベースラインの抑うつ症状の高さ(β=0.0409、95%CI:0.0809~0.0009、p=0.04)は高い脱落率を予測し、その一方で、理学療法士(β=-1.2029、95%CI:-2.0967~-0.3091、p=0.008)、運動療法士(β=-1.3396、95%CI:-2.4478~-0.2313、p=0.01)による介入は、低い脱落率を予測した。
・脱落率の比較メタ分析では、コントロール群よりも運動群で低かった(OR 0.642、95%CI:0.43~0.95、p=0.02)。
結果を踏まえ、著者らは「運動はうつ病患者にとって忍容性が高く、RCTにおける脱落はコントロール群より低い。このように、運動は実行可能な治療法であり、とくに運動に関する特別な訓練を受けた医療従事者による実施が重要である」とまとめている。
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