統合失調症患者はメタボリックシンドローム(Mets)リスクが高いが、Mets有病率は民族間で異なる。また、Metsの誘因となる運動不足や偏食などの環境的要因は、統合失調症の入院患者と外来患者とでは異なる可能性がある。日本のメンタルヘルスケアシステムは他国とは異なるが、これまで、日本人統合失調症患者におけるMets有病率の調査はほとんどなかった。新潟大学の須貝 拓朗氏らは、入院および外来の日本人統合失調症患者におけるMetsの有病率を明らかにするため全国調査を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年1月22日号の報告。
外来施設520ヵ所、入院施設247ヵ所へのアンケートにより、Metsリスクの検討を行った。対象となった統合失調症患者は外来患者7,655例、入院患者1万5,461例であった。Metsの有病率は、National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III(ATP III-A)、日本肥満学会(JASSO)の定義に基づいた。
主な結果は以下のとおり。
・ATP III-Aの定義によるMets有病率は、外来患者で34.2%(男性:37.8%、女性:29.4%)、入院患者で13.0%(男性:12.3%、女性:13.9%)であった。
・外来患者におけるMets有病率は、入院患者よりも約2~3倍高かった。
結果を踏まえ、著者らは「日本人統合失調症の外来患者におけるMetsの有病率は、入院患者よりも約3倍高い。このことから、外来患者と入院患者の健康特性の違いを考慮したうえで、統合失調症患者の身体疾患のリスクにもっと注意を払う必要がある」とまとめている。
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(鷹野 敦夫)