アルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/02/29 台湾におけるアルツハイマー病(AD)の介護負担は、日本と同様に緊急の社会的課題となっている。介護負担の比較は、それぞれの国における介護者の負担感を明確にする可能性がある。熊本大学の松下 正輝氏らは、日本と台湾のADに対する介護負担の比較を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年1月28日号の報告。 試験参加者は外来AD患者343人、日本の介護者230人および台湾の介護者113人。Zarit介護負担尺度(ZBI)の日本語版と中国語版を使用し、介護負担を評価した。初期解析では、各グループのZBIの因子構造を確認するため、探索的因子分析を行った。そして、複数グループ構造方程式モニタリング(MG-SEM)は、ZBIの測定不変性(たとえば構造不変性、計量不変性、スカラー不変性など)を評価するために使用した。最後に、日本と台湾のZBI潜在因子平均値を比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・両グループにおいて、確証的因子分析では、「介護者の生活への影響」「恥ずかしさ/怒り」「依存関係」の3つの要因が抽出された。 ・MG-SEMでは、許容可能なモデルの適合を示し、部分スカラー不変性を認めた[CFI(comparative fit index):0.901、RMSEA(root mean square error of approximation):0.066]。 ・潜在因子平均値の比較では、台湾の介護者における「介護者の生活への影響」のスコアは、日本の介護者よりも有意に高かった(p=0.001)。 ・しかし、台湾の介護者の「依存関係」は、日本の介護者よりも低かった(p<0.001)。 結果を踏まえ、著者らは「部分測定不変性により、両国の潜在的因子平均値を比較することができた。比較の結果、日本と台湾では介護負担の感じ方に違いがある可能性が示唆された」としている。 関連医療ニュース 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加 認知症と介護、望まれる生活環境は 介護施設での任天堂Wiiを用いたメンタルヘルス (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Matsushita M, et al. Int Psychogeriatr. 2016 Jan 28:1-8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] マラリア対策のための高解像度地図の最新版、COVID-19の影響は?/Lancet(2025/04/02) 2型DMへの自動インスリン投与システム、HbA1c値を改善/NEJM(2025/04/02) 胃がんT-DXd、日本における販売後調査の最終解析/日本胃癌学会(2025/04/02) 閉塞性肥大型心筋症へのmavacamten、長期有効性・安全性の中間解析(HORIZON-HCM)/日本循環器学会(2025/04/02) 腸管GVHDの発症・重症化および予防・治療における腸内細菌叢の役割/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/02) OTC薬の乱用と精神症状発症リスクとの関係(2025/04/02) 「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針(2025/04/02) [ あわせて読みたい ] Dr.たけしの本当にスゴい症候診断2(2016/02/07) ナベちゃん先生のだれでも読める心エコー(2015/12/07) Dr.香坂のすぐ行動できる心電図 ECG for the Action! (2015/10/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) ナベちゃん先生のだれでも撮れる心エコー(2015/09/08) HDLの質に注目した新たなアプローチ ―脂質異常症患者における高純度EPA製剤の投与意義―(2015/07/10)