認知症者への抗精神病薬投与の現状は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/04/27 抗精神病薬は、脳卒中や死亡リスクの増加に関する重要な安全上の懸念があるにもかかわらず、BPSDの治療に使用されている。急性期病院で治療を受ける認知症および関連する行動障害の患者数は増加している。アイルランド・コーク大学病院のP Gallagher氏らは、認知症者に対する抗精神病薬の使用に関して調査を行った。QJM誌オンライン版2016年3月14日号の報告。 以下について検討した。 (1)認知症や急性疾患を有する患者の全国サンプルにおける入院前、入院後の抗精神病薬使用率の調査 (2)抗精神病薬の使用理由特定 (3)認知症者に影響を与える病棟環境の特徴の評価 (4)認知症特有の施策やトレーニング、評価、サービスの提供に影響を与える指導プログラムの利用可能性 公共急性期病院35件から、4パートの標準化された監査により以下が抽出された。(1)レトロスペクティブ医療記録660件(2)病棟環境のプロスペクティブ評価77件(3)臨床マネージャーへの病棟体制のインタビュー77件(4)上級マネージャーへの病院体制のインタビュー35件 主な結果は以下のとおり。 ・認知症者に対する抗精神病薬の処方率は、入院前29%、入院中41%であり、4分の1は新規または追加で抗精神病薬が処方されていた。 ・使用理由は、せん妄(45%)、認知症の症状(39%)、気分(26%)、精神状態(64%)、苦痛の要因(3%)であった。 ・使用薬剤の適応症は、78%で記載されていた。非薬理学的介入は記載されていなかった。 ・ほとんどの病棟において、オリエンテーションを促進するための環境が十分ではなかった。 ・認知症特有のケア体制は、35施設中2病院で敷かれていた。 ・スタッフのサポートやトレーニングプログラムは最適には及ばなかった。 ・認知症者の12%は、新規の抗精神病薬の処方により退院した。 関連医療ニュース 認知症者の向精神薬使用実態と精神症状発現状況 非薬物的介入の併用で認知症への抗精神病薬使用が減らせるか 非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gallagher P, et al. QJM. 2016 Mar 14. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 今、注目のエビデンス(2018/07/02) 第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】(2018/07/25) 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2(2018/04/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】(2016/12/07) 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30)