妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/06/02 SSRIは、世界中で最も一般的に処方される抗うつ薬である。しかし、うつ病をとくに発症しやすい期間である妊娠中のSSRI使用は、過去数十年に胎児の成長といった安全性の面で患者や医療者における大きな懸念点となっている。カナダ・BC Women's Hospital and Health CentreのSura Alwan氏らは、妊娠中のSSRI使用に関するレビューを行った。CNS drugs誌オンライン版2016年5月2日号の報告。 主な内容は以下のとおり。 ・妊娠中のSSRI曝露は、流産、早産、新生児合併症、先天異常(とくに先天性心疾患)、小児期における神経発達障害(とくに自閉症スペクトラム障害)と関連している。 ・個々のSSRIの効果に関する研究では、妊娠中のfluoxetineやパロキセチン使用は、先天異常リスクは小さいけれども高いことが示されている。絶対リスクは小さいが、一部の患者にとって懸念となるかもしれない。 ・また、出産前のうつ病は、それ自体が好ましくない周産期アウトカムと関連しており、妊娠中に抗うつ薬を中止すると、うつ病再発の高リスクと関連する。 ・観察された胎児への好ましくない影響が、母親の薬物使用や基礎疾患と関連しているかを判断するのはいまだ困難である。 ・SSRIや同様の治療を受けているすべての妊婦に対し、母親と子供の両方にとっての未治療リスクと治療リスクを慎重に検討し、治療することが重要である。 ・サーベイランスやタイムリーな介入のために、有害アウトカム発生の高リスクを認識することが重要である。そのため、妊婦に対しては、妊娠初期に任意のSSRIを使用する場合は、超音波検査や胎児心エコー検査により先天異常を検出する出生前診断のオプションを用いることが推奨される。 ・妊娠初期には、漸減や他の治療法への切り替えなど、ケースバイケースで検討する必要がある。 関連医療ニュース 妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Alwan S, et al. CNS Drugs. 2016 May 2. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 SSRI、インスリン抵抗性から糖尿病への移行を加速! 疫学(危険因子)(2013/01/31) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 産婦人科医ユミの頼られる「女性のミカタ」 (2014/10/08) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/17) Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術(2014/06/11) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/03)