藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗うつ薬治療うつ病患者におけるZ薬補助療法の有効性や忍容性に関する包括的なメタアナリシスを行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2016年6月18日号の報告。
著者らは、うつ病患者におけるZ薬の無作為化プラセボ/抗うつ薬単独対照試験を抽出した。有効性と安全性の主要評価項目は、それぞれ寛解率と全原因による中止とした。副次評価項目は、反応率、HAMD合計スコアの改善、無効および有害事象による中止、個々の有害事象とした。リスク比(RR)、NNT/NNH、95%CI、標準化平均差(SMD)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・6件が抽出された。
SSRI+ベンラファキシン(平均期間:10.5週、平均年齢:44.4±11.8歳):2,089例
エスゾピクロン+抗うつ薬:642例
プラセボ+抗うつ薬:930例
抗うつ薬単独:112例
ゾルピデム+抗うつ薬:405例
・寛解率について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬よりも優れていた(RR:0.85、NNT:10)。
・HAMDスコアの改善について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独よりも優れていたものの(SMD:-0.23)、反応率、無効による中止率に有意な群間差はみられなかった。
・全原因による中止率に群間差はみられなかった。
・有害事象による中止率に群間差はみられなかったが、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、1件以上の有害事象発生(RR:1.09、NNH:20)、めまい(RR:1.76、NNH:25)の発生率の高さとの関連が認められた。
著者らは「Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、うつ病治療の有効性の改善が期待できるが、有害事象、とくにめまいへの密なモニタリングが必要である」としている。
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