各認知症の重症度とBPSD:大阪大

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/12

 

 認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)は、認知症者の予後に負の影響を及ぼし、介護者の負担を増大させる。大阪大学の數井 裕光氏らは、4つの主要な認知症において疾患重症度別に12種類のBPSD経過の違いを明確化し、日本多施設研究(J-BIRD)のデータを用いBPSDの頻度、重症度、介護者の負担を示すグラフを開発した。PLOS ONE誌2016年8月18日号の報告。

 日本の認知症センター7施設より、2013年7月31日までの5年間にわたり、アルツハイマー病(AD)1,091例、レビー小体型認知症(DLB)249例、血管性認知症(VaD)156例、前頭側頭葉変性症(FTLD)102例のNPI(Neuropsychiatric Inventory)データを収集した。12種類のNPI複合スコア(頻度×重症度)は、各認知症における主成分分析(PCA)を用いて分析した。臨床認知症評価法(CDR)を用いて測定したPCA因子スコアは、疾患の重症度により各認知症で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・下記について、高いCDRスコアの有意な増加が観察された。
 1)ADにおいて、多幸感以外のすべての項目3因子中2因子スコア
 2)DLBにおいて、無関心、異常な運動行動、睡眠障害、興奮、神経過敏、脱抑制、多幸感に関する4因子中2因子スコア
 3)VaDにおいて、無関心、抑うつ、不安、睡眠障害に関する4因子中1因子スコア
・FTLDにおいては、5因子スコアのいずれについても増加は観察されなかった。

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(鷹野 敦夫)