高齢者の遅発性うつ病に影響する要因とは:東大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/09/23 これまでのうつ病に対する小児期の社会経済的地位(SES)の影響に関する研究は、欧米諸国の中年成人に焦点が当てられてきた。東京大学の谷 友香子氏らは、小児期SESが高齢者のうつ病発症に影響するかを検討した。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年9月号の報告。 日本老年評価調査のデータを用いた前向きコホート研究。2010年のベースライン時点でうつ病でない65歳以上1万458人を対象に分析を行った。対象者は、基準に従って15歳時の小児期SESを評価した。ログリンク、既知および2013年までのうつ病発症リスク評価の潜在的なリスク因子による調整により二項ロジスティック回帰分析で評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・全体として、2013年までの新規うつ病発症率は13.9%であった。 ・年齢、性別で調整した後、低小児期SESは、うつ病発症と正の相関が認められた(ARR:1.44、95%CI:1.23~1.69)。 ・教育により調整した際、この関連は減少した(ARR:1.33、95%CI:1.13~1.57)。 ・しかし、成人期SES調整後、現在の疾患状態、健康行動、社会的関係は有意に残存した(ARR:1.27、95%CI:1.08~1.50)。 ・その関係は、75歳以上の高齢者よりも65~74歳の高齢者でより強かった。 著者らは「日本人高齢者における遅発性うつ病発症には、おそらく第2次世界大戦後の貧困による低小児期SESが関連していると考えられる。うつ病に対する小児期SESの影響は75歳以上では弱く、これは日本人高齢者のサバイバル効果を示唆している」とまとめている。 関連医療ニュース うつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因 抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連 なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tani Y, et al. Am J Geriatr Psychiatry. 2016;24:717-726. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)