揚げ物はうつ病の天敵か:日医大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/09/28 感情の調整に対して、長鎖n-3、n-6系多価不飽和脂肪酸(LC n-3/n-6 PUFA)は重要な役割を担っている。以前の著者らの研究では、LC n-3 PUFAが豊富な魚類の消費量とうつ病へのレジリエンス(逆境に直面してストレスに対処する能力)との関連が報告されていた。魚類の高摂取は日本の伝統的な食事パターンであるが、現在の日本人の食事パターンは西欧化している。西洋食は、一般的に揚げ物に使用される植物油によるLC n-6 PUFAを多く含有し、うつ病リスクと関連する。日本医科大学 多摩永山病院の吉川 栄省氏らは、揚げ物の消費量とうつ病へのレジリエンスとの関連を検討した。Lipids in health and disease誌2016年9月15日号の報告。 対象は、日本企業に勤務する715人。抑うつ症状の測定には、うつ症状をうつ病自己評価尺度(CES-D)、レジリエンスを14-item Resilience Scale(RS-14)を用いて評価した。魚や揚げ物の摂取頻度は、自己記入式食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。患者背景要因の調整、身体活動や魚類の摂取頻度は、Preacher and Hayesブートストラップ法を用いた回帰分析を使用した。 主な結果は以下のとおり。 ・揚げ物の消費量とCES-D合計スコアとの関連は有意であった(path c、B=0.72、p<0.01)。 ・揚げ物の消費量とRS-14合計スコアとの関連は有意であった(path a、B=-1.73、p<0.01)。 ・RS-14合計スコアとCES-D合計スコアとの関連も有意であった(path b、B=-0.35、p<0.01)。 ・RS-14合計スコアで調整した場合、揚げ物の消費量とCES-D合計スコアとの間に有意な関連はみられなかった。 ・ブートストラップ法により、RS-14スコアを介して揚げ物の消費量とCES-Dスコアが間接的に有意な関係にあることが示された(BCa信頼区間:0.34~0.92;95%信頼区間)。 著者らは「本検討により、揚げ物の消費量とうつ病への低レジリエンスとの関連が認められた。うつ病へのレジリエンスや予防のために、さらなる栄養介入研究が必要である」としている。 関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か 日本食は認知症予防によい:東北大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yoshikawa E, et al. Lipids Health Dis. 2016;15:156. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)