震災による被害で認知症リスク増加 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/11/14 これまで、震災前後における認知症リスク因子を考慮し、関連を調べた研究はなかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のHiroyuki Hikichi氏らは、将来を見据えて、2011年の東日本大震災と津波の影響による災害の経験が認知機能低下と関連しているかどうかを調査した。Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌オンライン版2016年10月24日号の報告。 地震と津波の7ヵ月前に震源地から80km西に住んでいた成人を対象に調査を行った。震災後約2.5年のフォローアップ調査により、3,594人(フォローアップ率:82.1%)の生存者から認知症の発症率だけでなく、個人的経験についての情報を収集した。主要アウトカムは、フォローアップ期間中の家庭内における認知症診断とした。 主な結果は以下のとおり。 ・分析対象者3,566人のうち、38.0%は災害により親戚や友人を失い、58.9%は物的損害があったと報告した。 ・Fixed-effects回帰では、重大な住宅ダメージ(認知症状レベルの回帰係数:0.12、95%CI:0.01~0.23)や家屋の崩壊(認知症状レベルの回帰係数:0.29、95%CI:0.17~0.40)は認知機能低下との関連が認められた。 ・家屋の崩壊のエフェクトサイズは、脳卒中発症の影響に匹敵していた(認知症状レベルの回帰係数:0.24、95%CI:0.11~0.36)。 ・住宅の損傷と認知機能低下との関連は、操作変数解析において統計学的に有意であった。 ・住宅被害は、自然災害による高齢者の認知機能低下の重要な危険因子であることが示唆された。 関連医療ニュース 東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大 震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善 認知症の世界的トレンドはどうなっているか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hikichi H, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 Oct 24. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] HER2+早期乳がんへの術後T-DM1、iDFS改善を長期維持しOS有意に延長/NEJM(2025/01/24) 急性脳梗塞、血管内再灌流後にウロキナーゼ動注は有効か?/JAMA(2025/01/24) 脳梗塞治療は完全に心筋梗塞治療の後追い?(解説:後藤信哉氏)(2025/01/24) NSAIDsとPPI併用で下部消化管出血リスク上昇か(2025/01/24) 新生児マススクリーニングでみつかる長鎖脂肪酸代謝異常症/ウルトラジェニックス(2025/01/24) 自閉スペクトラム症と統合失調症の鑑別に有用な評価尺度は(2025/01/24) PM2.5が多いとマラソン選手の記録が低下する(2025/01/24) 医師による身体活動量の評価は慢性疾患の予防につながる(2025/01/24) [ あわせて読みたい ] 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25)