カルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研

提供元:ケアネット

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公開日:2016/11/18

 

 東京都医学総合研究所の宮下 光弘氏らのこれまでの研究では、カルボニルストレスが統合失調症と密接に関連していることが示唆されていた。内因性分泌型終末糖化物質受容体(esRAGE)は、AGER遺伝子のスプライス変異であり、RAGEの可溶性形態の1つである。esRAGEは、終末糖化産物(AGE)閉じ込めることにより、カルボニルストレスの負担を軽減するための重要な物質であると考えられている。本研究では、AGERに焦点を当て、遺伝子関連解析を行った。Biochemical and biophysical research communications誌2016年10月21日号の報告。

 統合失調症患者群212例と対照群214例の比較を行った。また、患者群104例と対照群89例でのesRAGEレベルを比較し、さらに、患者群25例と対照群49例の全循環可溶性RAGE(sRAGE)の測定を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・遺伝子関連研究では決定的な結果が得られなかったが、重回帰分析では、特定のハプロタイプは、完全な連鎖不平衡(r2=1)であるrs17846798、rs2071288、63bpの欠損が示された。また、rs2070600(Gly82Ser)は、血清esRAGEレベルの著しい減少と有意に関連していた。
・統合失調症患者は、対照群と比較して、esRAGEレベル(p=0.007)とsRAGEレベル(p=0.03)が有意に低かった。
・これは、血清esRAGEレベルが、AGERで新規に同定された特定のハプロタイプにより調整され、統合失調症患者が、カルボニルストレスに対して脆弱であることが示された最初の研究である。

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(鷹野 敦夫)