皮膚の特性が環境影響によって変化するかどうかを都市単位で比較した研究は多数存在する。しかし、都市間での皮膚特性の比較には、さまざまな環境要因を考慮しなければならない。
本研究では、高度に着目し、同民族、同性(インドネシア人女性)において、異なる高度が皮膚の特徴にどの程度影響を与えるかを検討した。Myeongryeol Lee氏らによる Journal of Cosmetic Dermatology誌オンライン版2016年9月11日号の報告。
本研究では、以前の研究で得られたデータを用い、再分析を行った。データの対象は、20~34歳の健康なインドネシア人(スンダ族)女性で、ジャカルタ(低地)在住者49例、およびバンドン(高地)在住者87例の合計136例。データには公表データである皮膚の水和、皮脂レベル、pH、弾力性、経表皮水分喪失量、また、未発表データである皮膚色L*(明度)、a*(色方向でa*は赤、-a*は緑を示す)、b*(色方向でb*は黄色、-b*は青を示す)が含まれた。
皮膚パラメータの測定には、角質水分測定:コルネオメーター(Courage+Khazaka社)、皮脂分泌量測定:セブメーター(同)、皮膚粘弾性測定:pHメーター、キュートメーター(同)、水分蒸散測定:バポメーター(Delfin社)、分光光度測定:分光光度計(ミノルタ社)がそれぞれ用いられた。
主な結果は以下のとおり。
・低地(ジャカルタ)在住女性のほうが、高地(バンドン)在住女性より、額の皮脂量が多く、赤み(a*)が多かった。
・対照的に、バンドン在住女性のほうが皮膚のpH値が高く、皮膚色も明るく、額の肌の弾力性も高かった。
皮膚の特性は、高度の違いに影響を受けることが示唆された。これは、高度の違いによって、気温、湿度、紫外線などの環境要因も異なるからである。今後、皮膚の特性に影響を与える要因をさらに調査する必要がある。
(ケアネット 常盤 真央)