現在、国内においては4種類のアルツハイマー型認知症(AD)治療剤が使用可能であるが、2011年までは1剤しか存在しなかった。京都大学の門原 公子氏らは、2011年の新規AD治療剤発売前後における日本人外来患者の処方動向を明らかにするため検討を行った。Neurology and therapy誌オンライン版2016年11月28日号の報告。
薬局請求データより、日本全国の外来処方データを分析した記述的研究を行った。対象患者は、2010年1月~2014年9月にAD治療薬(ドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、ガランタミン)を初めて処方された20歳以上とした。AD治療薬を初めて処方された時期により、2010~11年(1)群と2012~14年(2)群に分け、それらの特徴およびAD処置について要約した。サブ解析として、1年以内の患者特性と投与中止または併用療法の変化との関係を、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて調査した。
主な結果は以下のとおり。
・期間中、AD治療薬を処方された患者は10万3,592例(1群:2万8,581例、2群:7万5,011例)であった。
・平均年齢(±SD)は、1群で79.6±7.4歳、2群で80.9±7.3歳であった。女性患者の割合は、1群で64.0%、2群で64.5%であった。
・1群と2群で比較すると、単剤治療は99.0%から94.3%へ、ドネペジル治療は92.3%から59.6%へ、1年以内の治療中止は40.5%から41.5%へ変化していた。
・サブ解析によると、85歳以上が1年以内の治療中止や併用療法への変更と強い関連が認められた。
著者らは「2011年以降、各AD治療薬の処方比率は変わっているが、2010~11年と2012~14年に処方を開始した患者の特徴に、明らかな変化は認められなかった」としている。
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