1日1本未満の喫煙でも肺がん死亡リスクが9倍

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/15

 

 米国では10本/日未満の喫煙者が増加しているが、生涯にわたる1日数本程度の喫煙による健康への影響は、ヘビースモーキングによる影響に比べてよくわかっていない。米国国立がん研究所のMaki Inoue-Choi氏らは、1本/日未満もしくは1~10本/日での長期喫煙と全死因死亡率・原因別死亡率との関連について、非喫煙と比較し評価した。その結果、1本/日未満や1~10本/日での長期喫煙者は非喫煙者より死亡リスクが高いこと、禁煙によるベネフィットがある可能性が示された。このことから、タバコの煙への曝露には安全というレベルはないことが示唆される。JAMA internal medicine誌オンライン版2016年12月5日号に掲載。

 本研究は、米国国立衛生研究所-AARP 食事・健康研究で、2004~05年(ベースライン)に59~82歳であった29万215人による前向きコホート研究である。それまでの喫煙歴を調べるアンケートとともにデータを収集し、2011年末までの全死因死亡率と原因別死亡率についてハザード比(HR)と95%CIを算出した。HRと95%CIは、ベースとなる時間として年齢を使用しCox比例ハザード回帰モデルを用いて推定し、性別・人種/民族・教育レベル・身体活動・飲酒について調整した。データ分析は2015年12月15日~2016年9月30日に行った。2004~05年のアンケートにより、9つの年齢期(15歳未満~70歳以上)での現在および過去の喫煙強度を評価した。主要アウトカムは、現喫煙者、元喫煙者、非喫煙者における全死因死亡率と原因別死亡率とした。

 主な結果は以下のとおり。

・2004~05年のアンケートを実施したコホート29万215人のうち、男性は16万8,140人(57.9%)で、平均年齢(SD)は71(5.3)歳(範囲:59~82歳)であった。
・ベースライン時に1本/日未満もしくは1~10本/日を吸っていたほとんどの人が、それ以前の本数がより多かったが、各年齢期でいつも変わらず1本/日未満もしくは1~10本/日と回答した人は、それぞれ159人(9.1%)と1,493人(22.5%)存在した。
・全死因死亡リスクは、非喫煙者に比べて、1 本/日未満(HR:1.64、95%CI:1.07~2.51)と1~10 本/日(HR:1.87、95%CI:1.64~2.13)の現喫煙者で高かった。
・全死因死亡率における関連性は男女で同様であり、また、喫煙に関連する死亡原因、とくに「肺がん」と強い関連が認められた(1本/日未満でHR:9.12、95%CI:2.92~28.47、1~10本/日でHR:11.61、95%CI:8.25~16.35)。
・1本/日未満もしくは1~10本/日を吸っていた元喫煙者のリスクは、禁煙時の年齢が若いほど低かった。たとえば、50歳以上で禁煙した1本/日未満および1~10本/日の喫煙者のHR はそれぞれ、1.44(95%CI:1.12~1.85)と1.42(95%CI:1.27~1.59)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)