大豆摂取と心血管疾患(CVD)リスクの関連はまだ不明である。また強力な線維素溶解酵素が含まれている納豆については、CVDとの関係を検討されていない。今回、岐阜大学の永田 知里氏らが、住民ベースのコホート研究(高山スタディ)において、納豆・大豆タンパク質・大豆イソフラボンの摂取量とCVD死亡率との関連を調べたところ、納豆の摂取がCVD死亡率の低減に寄与しうることが示唆された。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2016年12月7日号に掲載。
本研究には、高山スタディに参加した35歳以上の男性1万3,355人と女性1万5,724人が含まれ、1992年の募集時に各被験者に半定量的食物摂取頻度調査が実施された。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中にCVDにより1,678人が死亡した(うち、脳卒中677人、虚血性心疾患308人)。
・共変量の調整後、納豆摂取量が最高の四分位では最低の四分位と比較して、すべてのCVDによる死亡リスクの低下と有意に関連していた(HR:0.75、95%CI:0.64~0.88、傾向のp=0.0004)。
・すべてのCVDによる死亡リスクと、総大豆タンパク、総大豆イソフラボン、納豆以外の大豆製品からの大豆タンパク質や大豆イソフラボンの摂取の間に、有意な関連は認められなかった。
・総大豆タンパク質と納豆の摂取量の最高四分位は、すべての脳卒中による死亡リスクの低下と有意に関連していた(総大豆タンパク質におけるHR:0.75、95%CI:0.57~0.99、傾向のp=0.03、納豆におけるHR:0.68、95%CI:0.52~0.88、傾向のp=0.0004)。
・納豆摂取量の最高四分位は、虚血性脳卒中による死亡リスクの低下にも有意に関連していた(HR:0.67、95%CI:0.47~0.95、傾向のp=0.03)。
(ケアネット 金沢 浩子)