前立腺がん患者の35%が背部痛を医師に伝えず

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/23

 

 バイエル薬品株式会社は、前立腺がんの治療を受けている患者の症状および検査・治療に関する意識調査を実施、結果を発表した。本調査は、2016年9月に、前立腺がんの治療のため定期的に通院している50~80代の男性300名を対象に、インターネットによるアンケート形式で実施したもの。

 前立腺がんは、わが国で増加しており、2016年の予測罹患数は約9万2,600例と、2015年と同様に男性のがんの第1位となっている(国立がん研究センターがん対策情報センター発表)。また、前立腺がんが進行し、去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる状態になった患者のおよそ10人中9人は骨転移を有するとされる。

 はじめに「背中の痛みについて医師に言いますか?」の質問に、「はい」と回答した人が65.0%なのに対し、「いいえ」と回答した人が35.0%と、およそ3人に1人は痛みを我慢していることがうかがえた。また、痛みを「言わない」理由として、「前立腺がんとは関係のない症状」(53.3%)、「PSAの検査値を確認しており気にしなくてよい」(52.4%)など、痛みが前立腺がんと関連する可能性への認知が低いと分析している。

 「“言わない”と回答した人に、どのような条件があれば言うか」の質問では、「痛みが前立腺がんと関係あるならば」と61.0%の人が回答し、「痛みが改善しないようなら」と「我慢できなくなったら」と回答した人が同順位でそれぞれ38.1%あった。

 「背部痛がある場合、医師にPSA検査以外の検査を希望するか?」の質問では、「希望する」と47.3%の人が回答したのに対し、「希望しない」と回答した人は52.7%にのぼった。「希望しない」理由として「すでにPSA検査で数値を確認しているから」(43.0%)、「ほかの診断が思いつかない」(35.4%)など痛みの原因を調べるため、必要な検査の認知が低い現状が明らかになった。

 「前立腺がんの骨転移を治療することで、得られる影響について」では、「わからない」(48.0%)という回答が一番多く、「痛みが和らぐ」(28.0%)、「寿命が延びる」(26.3%)の回答順で、治療のメリットが十分に理解されていない可能性が示唆された。

バイエル薬品のニュースリリースはこちら(PDF)

(ケアネット 稲川 進)