オシメルチニブ、日本人のTKI耐性肺がんにも良好な結果:肺癌学会 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/12/28 第57回日本肺癌学会プレナリーセッションにて、EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に対する第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの第III相試験AURA3について、第17回世界肺癌学会議(WCLC)で発表された主要結果とともに日本人サブ解析の結果を、愛知がんセンターの樋田豊明氏が発表した。 AURA3試験は、1次治療のEGFR-TKIで進行したT790M変異陽性のNSCLCに対し、オシメルチニブとプラチナベース化学療法とを比較した無作為化比較試験。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)である。 全体集団のPFSは、オシメルチニブ群10.1ヵ月、化学療法群4.4ヵ月(HR:0.30、p<0.001)と、オシメルチニブ群で有意に延長した。日本人集団においては、オシメルチニブ群で12.5ヵ月(95%CI:6.9~NC)、化学療法群では4.3ヵ月(95%CI:4.0~6.7)と、全体集団と同じくオシメルチニブ群で延長した(HR:0.27、95%CI:0.13~0.56)。オシメルチニブは、中枢神経系においても効果を発揮することが示されている。当試験での脳転移例におけるPFSは、オシメルチニブ群8.5ヵ月、化学療法群4.2ヵ月(HR:0.32、95%CI:0.21~0.49)と、オシメルチニブ群で優れていた。ちなみに、脳転移のない例においては、オシメルチニブ群10.8ヵ月、化学療法群5.6ヵ月であった(HR:0.40、95%CI:0.29~0.55)。 Garde3以上の有害事象の発現率は、全体集団ではオシメルチニブ群で23%、化学療法群で47%であった。日本人集団ではオシメルチニブ群32%、化学療法群68%、と全集団と同様にオシメルチニブ群で少なかった。その中で、オシメルチニブ群の間質性肺疾患の発現は、全体集団では10例(Grade3以上は1例)、日本人集団では3例(Grade3以上は0)であった。 ディスカッサントである和歌山県立医科大学の山本信之氏は以下のように論述した。 今回のAURA3の日本人サブ解析の結果は、有効性についても有害事象についても、第II相試験の結果を踏襲するものである。オシメルチニブはT790M変異陽性NSCLCに対する標準治療として確立されたといえる。さらに、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療としての効果も期待される。このセッテイングにおいても、早期臨床試験で良好な結果が示されており、今後発表される第III相試験でも同様の良好な結果が示される可能性がある。しかし、耐性評価のための再生検については問題が残る。現状、T790Mは組織生検で評価するが、組織からのサンプル採取は容易ではない。自施設の経験では、4例に1例は複数回の生検を行っており、他科に組織採取を依頼せざるを得ない症例も少なくない。PDからオシメルチニブ投与の開始までの時間もかかる。リキッドバイオプシーの早期保険償還を期待したいと、同氏は述べた。 参考AURA3試験(ClinicalTrials.gov) 関連ニュース記事【ジャーナル四天王】オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJM オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを6ヵ月延長:AURA3 試験 T790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験 (ケアネット 細田 雅之) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 60歳以上へのRSVワクチン、承認後初のシーズンの有効性/Lancet(2024/11/01) 異常降雨が全死亡リスクと関連、心血管・呼吸器疾患死亡も/BMJ(2024/11/01) 糖尿病、脳卒中合併高血圧でも積極的降圧が有効―とはいうが、COVID-19ロックダウン下の中国で大規模臨床試験を強行したことに驚き(解説:桑島巌氏)(2024/11/01) 薬物乱用頭痛に対する薬物療法の比較〜ネットワークメタ解析(2024/11/01) 骨髄線維症に10年ぶりの新薬、貧血改善が特徴/GSK(2024/11/01) お茶やベリー類など、フラボノイド摂取が認知症リスクを低下(2024/11/01) 重症の新型コロナ感染者の心臓リスクは心疾患既往者のリスクと同程度(2024/11/01) 救急外来でのChatGPTの活用は時期尚早(2024/11/01) 幸福感が脳卒中や心筋梗塞からあなたを守る(2024/11/01) [ あわせて読みたい ] 私が出合ったマジヤバイ胸部画像読本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第2回(2018/02/13) Dr.林の笑劇的救急問答13<下巻>(2018/02/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(下巻)(2018/02/07) Dr.林の笑劇的救急問答13<上巻>(2017/10/07) 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)(2017/09/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)(2017/09/07)