牛乳摂取と認知障害との関連性を調査したいくつかの疫学研究における結果は一致していない。今回、中国人民解放軍総合病院のLei Wu氏らが牛乳摂取量と認知障害の関連についてメタ解析を行ったところ、これらに有意な逆相関を認めたが、研究のさまざまなリミテーションにより関連性を立証することはできなかった。Nutrients誌2016年12月号に掲載。
著者らは、PubMedとEMBASEのデータベース開始から2016年10月までで、牛乳摂取量と認知障害(アルツハイマー病、認知症、認知機能低下/障害)との関連を報告している観察研究を検索した。牛乳の最低摂取レベルに対する最高摂取レベルのオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を逆分散ランダム効果法で統合し、またサブグループおよびメタ回帰分析を用いてサブグループ間の異質性を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・計1万941人の参加者を含む7報を同定した。
・牛乳の最高摂取レベルは、認知障害リスクの低下と有意に関連しており、統合OR (95%CI)は0.72(0.56~0.93)であった。なお、有意な異質性が認められた(I2=64%、p=0.001)。
・サブグループ解析によると、虚血性脳卒中患者での牛乳摂取量と認知障害リスクの関連がより顕著であった(1つの研究に基づく)。
・牛乳摂取量と認知障害との有意な逆相関がみられたのはアジア人のみであり、アフリカ人では有意ではないが傾向が認められた。
(ケアネット 金沢 浩子)