降圧や脂質低下治療の無作為化試験での効果、その後どうなる?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/01/17

 

 降圧治療および脂質低下治療において、治療中止後も長期的ベネフィットが持続することが示唆されている。今回、シドニー大学の平川 洋一郎氏らが大規模無作為化試験の系統的レビューを行ったところ、全死亡率および心血管系死亡率における降圧および脂質低下によるベネフィットは、試験後も持続しているものの減衰が認められ、治療を継続することの重要性が示された。Journal of hypertension誌オンライン版2017年1月5日号に掲載。

 著者らは、降圧治療または脂質低下治療の大規模無作為化比較試験で、終了後に1年以上フォローアップされた試験を、Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを系統的に検索した。降圧治療では13試験(48,892例)、脂質降下治療では10試験(71,370例)を同定した。試験およびフォローアップ期間の平均は、それぞれ約4年と6年であった。

 主な結果は以下のとおり。

・血圧および脂質の値は、試験後の期間にすぐに同じになる傾向があった。
・試験期間中は、降圧による全死亡率への有意なベネフィットがあり(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.81~0.89)、フォローアップ期間中も減衰はしたが有意なベネフィットがあった(0.91、0.87~0.94) 。
・同様に、スタチンによる脂質低下は、試験期間中に全死亡率リスクを減少させ(0.88、0.81~0.95)、この効果はフォローアップ期間中も持続した(0.92、0.87~0.97)。
・心血管系死亡率についても同様の結果が認められた。
・降圧治療試験での全死亡率の累積した低下をみると、フォローアップ期間が5年未満の試験と比べて5年以上の試験で有意に低く、脂質低下試験でも同様の傾向が認められた。

(ケアネット 金沢 浩子)