スタチンが静脈血栓塞栓症を予防~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2017/01/25

 

 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症と肺塞栓症)に対するスタチンの予防効果が示唆されているが、明確なエビデンスはない。英国ブリストル大学のSetor K Kunutsor氏らは観察コホート研究と無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューおよびメタ解析を行ったところ、静脈血栓塞栓症の1次予防にスタチンが有益であることが示唆された。また、スタチンによって効果に差があることも示された。Lancet Haematology誌オンライン版2017年1月12日号に掲載。

 スタチンと静脈血栓塞栓症との関連を報告した研究について、MEDLINE、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryのデータベース、2016年7月18日までに出版された研究の参考文献のマニュアル検索、研究者との電子メールのやりとりから特定した。スタチン使用と成人の静脈血栓塞栓症/深部静脈血栓症/肺塞栓症との関連を調べた観察コホート研究、スタチン治療の効果をプラセボ投与や無治療と比較し、静脈血栓塞栓症/深部静脈血栓症/肺塞栓症の転帰に関するデータを収集している介入試験を特定した。なお、スタチンの効果を他のスタチンや脂質低下薬と比較した試験は除外した。ランダム効果モデルを用いて試験特異的な相対リスク(RR)を統合し、研究レベルによってグループ分けした。

 主な結果は以下のとおり。

・13のコホート研究(314万8,259例)、スタチン治療をプラセボもしくは無治療と比較した23のRCT(11万8,464例)の36試験を適格とした。
・観察研究において、スタチン使用群を不使用群と比較した場合の静脈血栓塞栓症の統合RRは0.75(95%CI:0.65~0.87、p<0.0001)で、この関連性は研究レベルによってグループ分けされた場合でも同様であった。
・RCTにおいて、スタチン治療をプラセボもしくは無治療と比較した場合の静脈血栓塞栓症のRRは0.85(95%CI:0.73~0.99、p=0.038)であった。
・サブグループ解析では、ロスバスタチンが他のスタチンと比べ静脈血栓塞栓症リスクが最も低く(RR:0.57、95%CI:0.42~0.75、p=0.015)、スタチンの効果がスタチンによって有意に異なることが示された。
・肺塞栓症へのスタチンの効果についてはエビデンスが得られなかった。
・深部静脈血栓症のエンドポイントのリスクは、スタチン使用が不使用に比べて有意に低下した(RR:0.77、95%CI:0.69~0.86、p<0.0001)。

(ケアネット 金沢 浩子)