非喫煙者では飲酒量と肺がんリスクが逆相関

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/02/07

 

 飲酒量と肺がんリスクとの関連は、喫煙による交絡の可能性があり研究の解釈を複雑にしている。カナダのルーネンフェルト・タネンバウム研究所のGordon Fehringer氏らは、プールされた大規模なサンプルで、生涯非喫煙者のみの解析によって喫煙による潜在的な交絡を最小限に抑え、飲酒量と肺がんリスクとの関連を調査したところ、とくに飲酒量が低~中等度の人では、飲酒量と肺がんに負の相関を認めた。また、この関連はワインと蒸留酒において示され、ビールでは認められなかったという。International journal of cancer誌オンライン版2017年1月24日号に掲載。

 著者らは、International Lung Cancer Consortium(ILCCO)とSYNERGY Consortiumにおける、北米・欧州・アジアでの22件の症例対照研究とコホート研究(生涯非喫煙の肺がん患者2,548人と生涯非喫煙者のコントロール9,362人を含む)を調査した。肺がんの組織分類ごとに分析し、またアルコールの種類(ワイン、ビール、蒸留酒)による関連も調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・飲酒量は肺がんリスクと負の相関を示し、軽~中程度の飲酒者では非飲酒者に比べてリスクが低いことが示唆された。
  >0~ 4.9g/日:OR=0.80、95%CI:0.70~0.90
  5~ 9.9g/日:OR=0.82、95%CI:0.69~0.99
  10~19.9g/日:OR=0.79、95%CI:0.65~0.96
・ワインと蒸留酒では負の相関がみられたが、ビールではみられなかった。

 なお著者らは、この結果に喫煙による交絡の影響はないが、他の因子による交絡は排除できないとしている。

(ケアネット 金沢 浩子)