初発統合失調症患者の脳変化を調査

提供元:ケアネット

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公開日:2017/04/27

 

 統合失調症患者では、進行性の脳体積減少が認められ、抗精神病薬曝露との関連が報告されている。南アフリカ・ステレンボッシュ大学のR Emsley氏らは、抗精神病薬ナイーブの初発エピソード統合失調症患者における脳体積の変化と抗精神病薬の投与量との関連を調査した。Psychological medicine誌オンライン版2017年3月28日号の報告。

 抗精神病薬ナイーブの初回エピソード統合失調症または統合失調感情障害に対し、flupenthixol decanoateデポ製剤の最低有効量で治療された患者23例とマッチした健常者53例を対象に、ベースラインから12ヵ月までの灰白質および白質体積の変化量を比較した。総抗精神病薬投与量を正確に計算し、脳体積の変化との関連を調べた。体積の変化と治療との関連は、治療レスポンス(精神病理学的、機能的変化)および治療関連副作用(錐体外路症状、体重増加)の観点からさらに調査した。

主な結果は以下のとおり。

・患者群(-4.6[6.6]%)では、対照群(-1.12[4.0]%)と比較し過度な皮質体積減少が観察されたが(p=0.009)、皮質下灰白質体積および白質体積の変化に有意な差は認められなかった。
・重回帰モデルでは、皮質体積の変化で唯一の有意な予測因子は、総抗精神病薬投与量であった(p=0.04)。
・皮質体積の変化は、精神病理学的、機能的、錐体外路症状の変化、BMIまたは年齢、性別、未治療の精神疾患持続期間との間に有意な関連を示さなかった。

 著者らは「抗精神病薬治療に伴う脳体積減少は、アウトカムの悪い患者だけでなく、また抗精神病薬の最低有効用量でも起こりうる。治療レスポンスまたは治療関連副作用との関連性の欠如は、少なくとも短期間での神経毒性を反映する皮質体積減少を意味している。一方で、体積の減少は、抗精神病薬の治療ベネフィットとは関連していなかった」としている。

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(鷹野 敦夫)