ベンゾジアゼピンや同様の作用を有する非ベンゾジアゼピン(Z薬)が、高齢者の肺炎リスク増加と関連しているかはよくわかっていない。フィンランド・Kuopio Research Centre of Geriatric CareのHeidi Taipale氏らは、催眠鎮静薬の使用と肺炎を有するアルツハイマー病患者を対象に、この関連性を調査した。CMAJ(Canadian Medical Association Journal)誌2017年4月10日号の報告。
対象は、Medication use and Alzheimer disease(MEDALZ)コホートより、2005~11年にフィンランドでアルツハイマー病の診断を受けた地域住民。処方箋、償還、退院、死因に関する全国登録データを用いた。ベンゾジアゼピンおよびZ薬での治療患者は、1年間のウォッシュアウト期間を用いて同定され、傾向スコアによって非使用者とマッチさせた。肺炎による入院または死亡との関連は、Cox比例ハザードモデルで分析し、時間依存的に他の向精神薬の使用により調整した。
主な結果は以下のとおり。
・アルツハイマー病患者4万9,484例のうち、ベンゾジアゼピン使用患者5,232例、Z薬使用患者3,269例および、1対1でマッチしたこれらの薬の非使用患者を用い、分析を行った。
・全体的には、ベンゾジアゼピンおよびZ薬の使用は、肺炎リスク増加と関連していた(調整HR:1.22、95%CI:1.05~1.42)。
・個別に分析したところ、ベンゾジアゼピンの使用は、肺炎リスク増加と有意に関連していたが(調整HR:1.28、95%CI:1.07~1.54)、Z薬の使用では認められなかった(調整HR:1.10、95%CI:0.84~1.44)。
・肺炎リスクは、ベンゾジアゼピン使用の最初の30日間で最大であった(調整HR:2.09、95%CI:1.26~3.48)。
著者らは「ベンゾジアゼピン使用は、アルツハイマー病患者における肺炎リスク増加と関連していた。アルツハイマー病患者に対しベンゾジアゼピンを使用する際には、ベネフィットと肺炎リスクを考慮する必要がある」としている。
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(鷹野 敦夫)