フランス・共同研究ユニット(UMR)のLeslie Grasset氏らは、スポーツ習慣例で紹介されている、死亡と認知症のいくつかの疫学的指標に対するリスク因子の影響を分析した。PLOS ONE誌2017年4月17日号の報告。
PAQUID試験より得られた65歳以上の非認知症者3,670例を、22年間追跡調査した。スポーツ習慣は、ベースライン時に記録した。認知症(DSM-III-R基準)および死亡は、来院時ごとに評価した。認知症および死亡リスク、確率、平均寿命に関する結果は、Illness-Deathモデルを用いて分析した。
主な結果は以下のとおり。
・非認知症者743例(20.2%)が、定期的なスポーツ習慣に参加していた。
・フォローアップ中、スポーツ習慣を有する高齢者では、死亡率が低かったが、認知症の割合は同様であった。
・調整モデルでは、スポーツ習慣を有する高齢者は、認知症リスク低下(HR:0.84、0.72~1.00)、非認知症者の死亡リスク低下(HR:0.61、0.51~0.71)を示したが、両スポーツグループともに、認知症による死亡リスクは同様であった。
・認知症なしで生存する確率は、スポーツ習慣を有する高齢者で高く、死亡率は低かった。
・認知症でない平均寿命は、スポーツ習慣を有する高齢者では3年長かったが、認知症者では、平均寿命は同様であった。
著者らは「認知症よりも死亡を予防するのに有効な保護因子による予防措置は、認知症にならず寿命を延ばすことができる。たとえ認知症の発症リスクが低下したとしても、認知症の症例数は変わらない。この動態は、高齢者のための医療、社会サービスの必要性を予測するうえで重要である」としている。
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