米国のARIC研究(Atherosclerosis Risk in Communities Study)において、学歴別に心血管疾患(CVD)生涯リスクを調べたところ、高校を卒業していない人では5割以上がCVDイベントを経験していたことがわかった。また、他の重要な社会経済的特性にかかわらず、学歴とCVD生涯リスクに逆相関が認められた。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年6月12日号に掲載。
米国の4コミュニティー(メリーランド州ワシントン郡、ノースカロライナ州フォーサイス郡、ミシシッピ州ジャクソン、ミネソタ州ミネアポリス郊外)における、ベースライン時にCVDのなかった45~64歳の白人とアフリカ系アメリカ人1万3,948人が参加した。参加者を1987年から2013年12月31日まで追跡調査し、医師によるレビューとICDコードでCVDイベント(冠動脈疾患、心不全、脳卒中)を確認した。データ分析は、2016年6月7日~8月31日に実施し、生命表を用いて45~85歳のCVD生涯リスクを学歴別に評価、CVDが原因ではない死亡の競合リスクを調整した。
主な結果は以下のとおり。
・参加者1万3,948人のうち、女性が56%、アフリカ系アメリカ人が27%であった。
・26万9,210人年の追跡期間中のCVDイベントは4,512件、非CVD死亡は2,401人であった。
・学歴と中年期に発症したCVD累積リスクは逆相関を示し、高校を卒業した人としなかった人で最も顕著な差を示した。
・男性におけるCVD生涯リスクは、学歴別にそれぞれ、小学校59.0%(95%CI:54.0~64.1)、高校(卒業せず)52.5%(同:47.7~56.8)、高校(卒業)50.9%(同:47.3~53.9)、職業訓練学校47.2%(同:41.5~52.5)、大学(卒業あるいは卒業せず)46.4%(同:42.8~49.6)、大学院/専門学校42.2%(同:36.6~47.0)であった。
・女性ではそれぞれ、小学校50.8%(同:45.7~55.8)、高校(卒業せず)49.3%(同:45.1~53.1)、高校(卒業)36.3%(同:33.4~39.1)、職業訓練学校32.2%(同:26.0~37.3)、大学(卒業あるいは卒業せず)32.8%(同:29.1~35.9)、大学院/専門学校28.0%(同:21.9~33.3)であった。
・家計収入・収入の変化・職業・親の教育レベルの同一カテゴリー内でも、学歴とCVDは逆相関を示した。
(ケアネット 金沢 浩子)