お酒はうつ病リスク増加にも関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/07/10 うつ病の発症率に対するリスクファクターの変化による影響を調査した研究はほとんどない。カナダ・マギル大学のXiangfei Meng氏らは、大規模縦断的集団ベース研究におけるうつ病の心理社会的リスクファクターおよびうつ病発症に対するリスクファクター改善による影響を定量化するため検討を行った。BMJ open誌2017年6月10日号の報告。 Montreal Longitudinal Catchment Area studyからのデータを使用した(2,433例)。相対リスク(RR)の推定には、多変量ポアソン回帰を用いた。うつ病発症に対するリスクファクター改善による潜在的な影響を推定するため、人口寄与割合(Population attributable fraction)を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・うつ病の累積発症率は、2年間のフォローアップで4.8%、4年間のフォローアップで6.6%であった。 ・うつ病発症リスクの上昇と関連していたのは、より若い年齢、女性、未亡人、別居または離婚、白人、貧困、時々の飲酒、精神保健問題の家族歴、教育の不足、失業率の高い地域および白人以外の率が高い地域での居住、より文化的なコミュニティセンターやコミュニティ組織であった。 ・2年間のフォローアップ時、時々の飲酒(対禁酒)に起因する可能性があったうつ病発症は5.1%のみであったが、4年間のフォローアップ時には倍増した。 ・集団における飲酒率を10%低下させると、半分は発症を予防できる可能性があることが示唆された。 著者らは「個人および社会の両方で改善可能なリスクファクターは、公的うつ病予防プログラムのターゲットとなる可能性がある。これらのプログラムは、男女異なるリスクファクターが特定されているため、性別固有のものでなければならない。個人レベルでの予防に関しては、うつ病の約5~10%が関連する時々の飲酒のより良い管理に焦点を当てることができる。近隣の特性もまた、公的予防プログラムの対象となる可能性があるが、非常に困難かもしれない。これらは、さまざまな予防努力のコスト効果分析により正当化されている」としている。 ■関連記事 たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大 うつ病、男女間で異なる特徴とは (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Meng X, et al. BMJ Open. 2017;7:e015156. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.2(2017/05/24) 長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.1(2017/05/17) 無敵の研修医ストレスマネジメント (2017/05/07) Dr.水野のうたう♪心音レクチャー (2017/05/07) Dr.宮本のママもナットク!小児科コモンプラクティス (2017/04/07) Dr.たけしの本当にスゴい症候診断3 (2017/04/07) Dr.香坂のアカデミック・パスポート 「文献の引き方」から「論文の書き方」まで (2017/03/07)