統合失調症に対するメマンチン補助療法に関するメタ解析 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/07/13 NMDA受容体機能不全は、統合失調症の病態生理に関与する。中国・The Affiliated Brain Hospital of Guangzhou Medical UniversityのW. Zheng氏らは、統合失調症治療における非競合的NMDA受容体アンタゴニストであるメマンチンの有効性、安全性を調査するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 標準化平均差(SMD)、加重平均差(WMD)、リスク比(RR)、95%信頼区間(CI)を算出し、分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・11.5±2.6週間の8つのRCT(452例)より、メマンチン群(20mg/日)229例、プラセボ群223例が抽出された。 ・メマンチン群は、プラセボ群と比較し、PANSSおよびBPRSの陰性症状尺度の測定において優れていたが(SMD:-0.63、95%CI:-1.10~-0.16、p=0.009、I2=77%)、総スコアおよび陽性症状尺度、総合精神病理尺度(SMD:-0.46~-0.08、95%CI:-0.93~0.22、p=0.06~0.60、I2=0~74%)またはCGI-S(WMD:0.04、95%CI:-0.24~0.32、p=0.78)では認められなかった。 ・陰性症状は、1つのかけ離れたRCTを除外したのちでも有意なままであった(SMD:-0.41、95%CI:-0.72~-0.11、p=0.008、I2=47%)。 ・メマンチン群は、プラセボ群と比較し、MMSEを用いた認知機能の有意な改善と関連していた(WMD:3.09、95%CI:1.77~4.42、p<0.00001、I2=22%)。 ・両群間の中止率(RR:1.34、95%CI:0.76~2.37、p=0.31、I2=0%)と有害事象に有意な差は認められなかった。 著者らは「メマンチン補助療法は、統合失調症の陰性症状および認知機能を改善させるために有効かつ安全な治療であると考えられる。これらの結果を確認するためにも、より大きなサンプルサイズによる質の高いRCTが必要である」としている。 ■関連記事 統合失調症へのメマンチン追加療法のメタ解析:藤田保健衛生大 慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zheng W, et al. Psychol Med. 2017 May 22. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 メマンチン補助療法の精神疾患に対する有効性をメタ解析 医療一般(2019/06/28) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 重症βサラセミアへのbeti-cel、89%が輸血非依存性を達成/Lancet(2024/11/25) 手術目的の入院患者の有害事象、多くは予防可能/BMJ(2024/11/25) 高リスクIgA腎症へのエンドセリンA受容体拮抗薬の重度蛋白尿改善効果は確定(解説:浦信行氏)(2024/11/25) 境界性パーソナリティ障害に非定型抗精神病薬は有効なのか〜メタ解析(2024/11/25) 非肥満2型糖尿病患者の心血管障害へのSGLT2阻害薬の効果は/京大(2024/11/25) EGFR陽性NSCLC、CRT後のオシメルチニブは日本人でも良好(LAURA)/日本肺癌学会(2024/11/25) 1日わずか5分の身体活動の追加が血圧低下に効果的(2024/11/25) 便秘は心臓病のリスクを高める?(2024/11/25) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)