抗精神病薬の長期投与、就労への影響は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/07/18 統合失調症患者の就労機能促進に対する抗精神病薬の長期有効性を評価するため、米国・イリノイ大学のMartin Harrow氏らは、初期精神疾患患者139例の縦断的マルチフォローアップ研究を行った。Psychiatry research誌オンライン版2017年6月22日号の報告。 統合失調症患者70例および精神病性気分障害コントロール患者69例を対象に、20年にわたり6回の追跡調査を行った。抗精神病薬を継続的に処方された統合失調症患者の就労機能への影響を、抗精神病薬を処方されていない統合失調症患者と比較した。被験者間の差異は、統計学的コントロールを用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・急性期入院時における統合失調症患者に対する抗精神病薬処方は、多くの患者にとって精神症状の軽減または消失に寄与するが、4年から20年後のフォローアップ期間中、抗精神病薬を処方されていない患者は、有意に良好な就労機能を有していた。 ・継続的に抗精神病薬を処方された患者は、就労パフォーマンスが低率であり、経時的な改善は認められなかった。 ・複数の他の要素も就労機能の妨げとなっていた。 著者らは「抗精神病薬を長期間処方されていない患者の中に、比較的良好な機能を有している患者がいることが示唆された。複数の他の要素は、退院後の就労パフォーマンスの低さと関連していた。縦断的データによると、統合失調症に対する抗精神病薬の長期治療に関して疑問を呈する」としている。 ■関連記事 安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか 統合失調症患者の性格で予後を予測 維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Harrow M, et al. Psychiatry Res. 2017 Jun 22. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] MI後のスピロノラクトンの日常的使用は有益か?/NEJM(2024/11/29) チルゼパチドのHFpEFを有する肥満患者への有効性/NEJM(2024/11/29) 今、肺静脈隔離にシャム試験?(解説:高月誠司氏)(2024/11/29) 患者はどう考えている?前立腺がんの治療選択/AZ(2024/11/29) 高齢者が健康長寿でいられるBMIは22.5~23.5/早大ほか(2024/11/29) セマグルチド2.4mg、MASHで有意な改善示す(ESSENCE)/ノボ ノルディスク(2024/11/29) 鼻腔ぬぐい液検査でCOVID-19の重症度を予測できる?(2024/11/29) コロナ禍を経て高知県民の飲酒行動が変わった?(2024/11/29) 双極症I型に対するアリピプラゾール月1回投与〜52週間ランダム化試験の事後分析(2024/11/29) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)