治療抵抗性統合失調症、クロザピン+フルボキサミンの効果は

提供元:ケアネット

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公開日:2017/07/26

 

 多くの研究において、フルボキサミンは、クロザピンとの著しい薬物動態および薬理学的相互作用を有することが報告されている。台湾・台北医学大学のMong-Liang Lu氏らは、統合失調症患者へのクロザピン治療における代謝パラメータや精神病理に対するフルボキサミンの効果を評価するため、12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年7月5日号の報告。

 対象は、DSM-IVで統合失調症と診断された85例。フルボキサミン50mg/日+クロザピン100mg/日またはクロザピン300mg/日の2群に無作為に割り付けた。ベースラインおよび介入後4、8、12週目の代謝パラメータ、精神病理、薬物レベルを評価した。クロザピン、ノルクロザピン、クロザピンN-オキシドおよびフルボキサミンの血中レベルは、紫外検出高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン特性は、両群間で有意な差は認められなかった。
・クロザピンとフルボキサミンの併用療法は、クロザピン単独療法と比較し、体重、インスリン抵抗性およびインスリン、グルコース、トリグリセリドレベルの増加を有意に減少させた。
・両群ともに、PANSS総スコア、陰性尺度スコアの有意な改善が認められた。
・併用療法群は、単独療法群と比較し、PANSS総合精神病理尺度スコアの有意な改善が認められた。
・血中クロザピンレベルは、両群間で差異は認められなかった。
・単独療法群は、併用療法群と比較し、ノルクロザピンおよびクロザピンN-オキシドレベルが高かった。

 著者らは「統合失調症患者に対するクロザピンとフルボキサミンの12週間併用療法は、クロザピン単独療法と比較し、臨床効果を減弱させることなく、体重増加や代謝異常を緩和することが可能である。これらの所見は、短期間の研究であるため、慎重に解釈する必要がある」としている。

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(鷹野 敦夫)