遅発性ジスキネジア治療に期待される薬剤は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/08/18 遅発性ジスキネジア(TD)は、ドパミン受容体アンタゴニストによる抗精神病薬治療を受けている患者で起こりうる。TDは、その有病率と患者の生活への悪影響にもかかわらず、確立された治療法がなく、薬理学的治療の比較対照試験によるエビデンスも限られている。米国・ペンシルベニア大学のStanley N. Caroff氏らは、TDまたは薬物誘発性運動障害の治療に関する文献レビューを行った。Expert review of neurotherapeutics誌オンライン版2017年7月31日号の報告。 2007~16年に発表されたTDに関する英語論文を、PubMedから“tardive dyskinesia”(TD)もしくは“drug-induced movement disorder”(薬物誘発性運動障害)および“treatment”の語句で検索した。選択したのはTD治療のための薬理学的作用を評価した研究で、合計26件(メタ解析:5件、RCT:12件、オープンラベル:9件)をレビューした。 専門家の主な解説は以下のとおり。 ・TDの治療には段階的なアプローチが必要である。 ・TD治療前に、抗精神病薬の最適化を検討すべきである。 ・いくつかの最近の研究データからは、抗精神病薬の切り替え、またはアマンタジン、レベチラセタム、piracetam、ゾニサミド、プロプラノール、ビタミンB6、特定の規制されていない漢方薬の使用でTD改善の可能性が示されているが、これらの改善意義は不明であり、RCTによるさらなる検討が必要である。 ・また、新規の小胞モノアミントランスポーター2阻害薬の第III相試験による最近のエビデンスでは、TD症状の重症度に対する有意な効果が認められ、これらの薬剤が、今後のTD治療を変える可能性があることを示唆している。 ■関連記事 遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見 遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学 統合失調症のEPS発現にカルバマゼピン処方が関連 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Caroff SN, et al. Expert Rev Neurother. 2017 Jul 31. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 遅発性ジスキネジア治療剤の新薬ジスバルカプセル40mg発売/田辺三菱 医療一般(2022/06/14) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)