メタボの予防法は性別によって異なる?~亘理町研究

提供元:ケアネット

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公開日:2017/09/04

 

 日本において、メタボリックシンドローム(MetS)とプレメタボリックシンドローム(preMetS)は男性でより多くみられる。しかし、これらの代謝障害と生活習慣因子との関係に性別による違いがあるかどうかは不明である。東北労災病院の服部 朝美氏らは、30歳以上の一般集団の日本人における、MetSとpreMetSに対する男女別の生活習慣因子との関連を調べた。その結果、MetSとpreMetSに関連する生活習慣因子は男女で異なり、著者は「MetSの効果的な予防には、性別によって特有の生活習慣の変更が必要であることが示唆された」とまとめている。Internal medicine誌2017年8月10日号掲載の報告。

 研究グループは、30~79歳の宮城県亘理町在住の3,166人(男性1,280人、女性1,886人)を対象に、腹囲、血圧、空腹時血糖、各種生活習慣因子等を調査した。
 MetSは、腹囲により評価された中心性肥満と、2つ以上の心血管代謝リスクの有無(高血圧、高血糖、および脂質異常)という、日本の診断基準に基づいて診断された。また、中心性肥満と心血管代謝リスク1つを有する状態をpreMetSと定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・男性は、女性と比較してMetS(23.3%対8.7%、p<0.001)およびpreMetS(21.2%対10.2%、p<0.001)で有意に高い罹患率を有していた。
・年齢を調整したロジスティック回帰分析の結果、男性では大量の飲酒習慣(1日当たりの飲酒量が2合以上)がMetS(オッズ比:1.91、95%信頼区間[CI]:1.29~2.83)およびpreMetS(同:1.69、95%CI:1.11~2.58)と関連していた。
・男性では、食べる速さ(質問票で「人と比較して食べる速度が速い」と回答)がMetS(同:1.55、95%CI:1.12~2.15)およびpreMetS(同:1.83、95%CI:1.33~2.55)と関連していた。
・男性では、定期的な運動習慣の不足(質問票で「1 年以上、30 分以上の運動を週 2 日以上」“していない”と回答)がPreMetS(同:1.38、95%CI:1.03~1.85)と有意に関連していたが、MetSでは関連していなかった。
・女性では、食べる速さと定期的な運動習慣の不足がpreMetSと有意に関連しており(同:1.44、95%CI:1.01~2.07および同:1.41、95%CI:1.02~1.96)、MetSについてもオッズ比の段階的な増加(同:2.02、95%CI:1.40~2.91および同:1.47、95%CI:1.03~2.09)が観察された。

(ケアネット 遊佐 なつみ)