統合失調症に対する抗精神病薬の併用療法(CA)は、有効性に関するエビデンスが限られているにもかかわらず、行われている。米国・フロリダ国際大学のAdriana Foster氏らは、CA療法から単独療法に切り替えた際の効果を調査するため、PROACTIVE(Preventing Relapse in Schizophrenia: Oral Antipsychotics Compared with Injectables: Evaluating Efficacy)研究データの探索的分析を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2017年10月号の報告。
統合失調症および統合失調感情障害患者305例を対象に、リスペリドン持効性注射剤(LAI)または第2世代経口抗精神病薬(OA)治療に無作為化したのち、30ヵ月フォローアップを行った。PROACTIVE研究より抽出されたCA群50例、LAI群20例、OA群206例の患者において、再発までの期間および臨床尺度の比較を行った。
主な結果は以下のとおり。
・OA群は、CA群と比較し、ベースライン時の入院率が有意に低かった(p=0.009)。
・再発した患者の割合は、CA群68%、LAI群53%、OA群52%であった。
・カイ検定では、再発率に有意な群間差は認められなかった(χ=3.85、p=0.146)。しかし、ログランク検定では、初回再発までの期間において有意な差が認められ(χ=6.81、p=0.033)、OA群(平均期間:562.8日)は、CA群(平均期間:409.5日)と比較し、再発までの期間が有意に長かった(p=0.011)。
・LAI群の初回再発までの期間は、平均594日であり、他の群と比較し、有意な差は認められなかった。
・入院回数で調整しても、有意な群間差は認められなかった(ハザード比:1.541、p=0.052)。
著者らは「本探索的分析に基づくと、抗精神病薬の併用療法は、早期再発が予測され、統合失調症患者に対する併用療法は、より指導が必要である」としている。
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(鷹野 敦夫)